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 5月20日の日本民話
 
 
  
 うそつき名人
 岐阜県の民話 → 岐阜県情報
  むかしむかし、源さんという、うそつきの名人がいました。
 ある日、源さんが村の田んぼ道を走っているのを見て、村人たちが言いました。
 「おいおい、そんなに急いでどこへ行くんだ? それよりも、今日も何かうまいうそをついてくれよ」
 でも源さんは、知らん顔です。
 「ははーん。さすがのうそつき名人もよほどあわてているとみえて、うそをつくひまもないらしい」
 「そうだな。あはははは」
 みんなが大笑いしていると、源さんは怖い顔で、
 「何をのんきなことを!
 庄屋(しょうや)さんが死んだというのに、うそなんかついていられるか!
 これからとなり村へ、知らせに行くところだ!」
 と、言って、走っていきました。
 「なに! 庄屋さんが!」
 「それは、大変だ! 庄屋さんが、なくなったぞ!」
 村人たちはビックリして、次々と庄屋さんの家へかけつけました。
 ところが庄屋さんは元気で、楽しそうに庭の手入れをしているではありませんか。
 「これは、どういう事だ?」
 「・・・しまった。また源さんにやられた!」
 「さすがはうそつきの名人、大したものだ」
 村人たちは源さんの見事なうそに、すっかり感心したという事です。
 おしまい   
 
 
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