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 5月3日の日本民話
 
 
  
 干しな経
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 ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
 
 投稿者 「ぐっすり眠れる優しいおやすみ朗読」
 
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 投稿者 「眠りのねこカフェ」
 
 
  むかしむかし、ある家で、法事(ほうじ→身近な人の死んだ日に、みんなで集まってお経をあげたり、お墓参りすること)をする事になりました。そこでお寺へお坊さんを呼びに行きましたが、お坊さんが留守(るす)で小僧(こぞう)さんしかいません。
 でも小僧さんなら、お経ぐらいよむ事が出来ます。
 「小僧さん。わたしの家へ、法事に来てください」
 「はいはい、わたしでよかったら、すぐまいります」
 小僧さんはさっそく、お坊さんの衣を着てやって来ました。
 「では、はじめさせていただきます」
 小僧さんがおじぎをして、さて、お経をよもうと思ったら、ふところにお経の本がありません。
 あわててやって来たので、持って来るのを忘れてしまったのです。
 この小僧さんは、本がなくてはお経がよめません。
 (こりゃ、困ったぞ)
 そう思って窓の外を見ると、軒下(のきした)になっぱの束(たば)が干してありました。
 小僧さんは、いかにもお経のように、その数をかぞえはじめました。
 「一れん、二れん、三れん、四れん、ああ、五れん、六れん、・・・」
 一れんというのは、なっぱをつるしてある一本のナワのことで、一れん、二れんとかぞえます。
 小僧さんはなっぱの束をかぞえ終わると、またはじめから、
 「一れん、二れん、三れん、四れん、・・・」
 と、そればっかりです。
 窓の外でそれを聞いていた子どもが、小僧さんに言いました。
 「小僧さん、それ、なんというお経じゃ」
 「これは干しな経といって、とてもありがたいお経じゃ」
 「へえ、そんなら、あっちにもまだ、二、三れん、つってあるよ」
 すると小僧さんは、
 「いや、それはこの次に来たとき、よむつもりじゃ」
 と、言ったという事です。
 おしまい 朗読者情報 台湾居住者 Judy
 日本で20年の生活を経た後、本国の台湾に戻ったジュディーは日本と台湾の架け橋となり、通訳、翻訳、日本語教師を経験後、現在は日本語を使い、様々な分野の録音に携わっています。
 台湾日文配音者です。
 朗読に関するご意見ご要望はjudy.yen1204@gmail.comまでお願いいたします。
 
 
 朗読者情報 ひいらぎ
 運営ブログ 「おやすみなさい。またあした。」
 http://www.voiceblog.jp/fleurfleur/
   
 
 
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