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福娘童話集 > きょうの日本民話 > 10月の日本民話 > ダイコンおろしストーン 
      10月28日の日本民話 
        
           
  ダイコンおろしストーン 
  鳥取県の民話 → 鳥取県情報 
      
       むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう)たちが年貢(ねんぐ)のお米をおさめないので、お代官(だいかん→役人)が、きつく取り立ててやろうと、山の村へやってきました。 
   それを知った山の村では大さわぎで、ウマにのったお代官がやってくると、ごちそうにと、大きな皿(さら)にタイを一匹のせて出しました。 
  「よしよし、よい心がけじゃ。年貢の取り立ては、まずこれを食ってからにしてやろう」 
  と、お代官が出されたタイを食べようとしたら、なんとそのタイはくさっていて、ウジ虫がわいているのです。 
  「この無礼者(ぶれいもの)! なんと言う物を出すのだ!」 
   お代官が顔をまっ赤にして怒ったので、村のお百姓が言いました。 
  「へえ、なんでも、えらいお方が来られたときは、タイをつくって(→この場合のつくるとは、本当はおさしみにすること)さしあげるもんじゃと聞きましたで、わしらはタイを畑にうめて、こやしをかけてつくりました」 
   これには、お代官もあきれてしまいました。 
  「まあ、こんな山の中にいては、海の魚の食べ方など知らぬのも無理はない。だが、山ならダイコンぐらいあるじゃろう、ダイコンおろしにして食うから、もってまいれ」 
  「へえ、へえ」 
   お百姓たちは、いったん帰りましたが、何をしているのか、なかなかダイコンを持ってきません。 
   でもそのうちに家の天井裏で、何やらガサゴソと音がし始めました。 
  「あいつら、天井裏にのぼって、何をしているのじゃ?」 
   お代官が天井を見上げていると、お百姓の一人が天井の板を一枚はがして言いました。 
  「お代官さま、今からダイコンおろしいを出します」 
   そして、天井から大きなダイコンを投げ落としたのです。 
  「わっ、何をしておる!」 
   ビックリするお代官の目の前に、お百姓はまた、ダイコンを投げ落としました。 
  「へい、ダイコンおろしいです」 
   そしてまた、ストーンとダイコンを天井から投げ落とします。 
  「こら、あほうども、やめい。もうダイコンおろしはいらん!」 
   お代官がいくらどなっても、お百姓たちは、天井からダイコンを投げ落としました。 
  「だっ、だめじゃ。話してわかるような相手じゃない。いや、こんな村にグズグズしていたら、何をされるかわからん」 
   お代官は年貢の取り調べもせずに、急いで逃げ帰ったという事です。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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