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10月28日の日本民話

松屋のびんつけ

松屋のびんつけ
福井県の民話福井県情報

 むかしむかし、田島川(たじまがわ)のふちに住んでいた大蛇が、美人と評判の松屋の娘にほれて、何とか嫁にしたいと思いました。
 大蛇は若者に変身すると、松屋を訪ねて行って言いました。
「娘さんを、わたしの嫁にいただきたい。もし嫁にくださるなら、一朝(いっちょう)で千金(せんきん)を得る秘伝をお教えしましょう」
 しかし松屋の主人は、
「初めて会った者に、突然そんな事を言われても困る」
と、若者の申し出を断りました。
 しかし若者は毎晩やってきて熱心に頼むので、主人も娘を嫁にやる決心をしました。
 そして婚礼をすませた若夫婦を主人夫婦が見送っていると、若者は田島川のたもとで急に立ち止まり、
「わたしは、この川に住む大蛇です」
と、大蛇の姿を現して、娘とともに川に飛び込んだのです。

 大切な娘を失った主人夫婦は毎日のように泣き暮らしていましたが、大蛇の若者が言い残していった一朝で千金を得る方法を思い出すと、一心に仕事に打ち込み始めました。
 その方法とは、びんづけ油の製法でした。
 びんづけ油とは髪の毛にぬる油の事で、当時は男も女もみんなびんづけ油を使っていました。
 大蛇の若者が教えてくれたびんづけ油は、べたつかず香りも良かったので、たちまち主人夫婦は大金持ちになりました。

 そんなある日、田島川の川筋一体が突然の大火事となり、松屋も火につつまれてしまいました。
 すると田島川から二匹の大蛇が現れて、松屋を火事からすくってくれたのです。
 ですが二度目の大火事の時に、その二匹の大蛇は松屋もろとも焼け死んでしまいました。
 その時から松屋のびんづけ油の質が落ちて、松屋はすたれていったそうです。

おしまい

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