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 4月13日の小話
 
 サルがにる  あるところに、サルにそっくりな顔の殿さまがいました。ある時、殿さまが家来に尋ねました。
 「おい、三太夫(さんだゆう)。
 わしが歩いていると、見る人、見る人が、わしの事を『サルじゃ、サルじゃ』と言うが、わしの顔は、そんなにサルに似ておるのか?」
 すると三太夫は、言葉を選びながら言いました。
 「それは、とんでもない事でござりまする。
 どうして殿さまのお顔が、サルに似ておりましょう。
 実はサルめが、殿さまのお顔を真似しているのでございます」
 すると殿さま、満足そうに言いました。
 「うむ、そうであろう、そうであろう」
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
  
 
 
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