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 4月17日の日本民話 2
 
  
 まめになれないとうふ
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  むかしむかし、おとうふが病気になりました。それを聞いたダイコンが、お見まいに出かけることにしました。
 でも一人で行くのははずかしいので、ゴボウをさそいに行きました。
 「おとうふさんが病気だそうです。二人でお見まいに行きませんか?」
 すると、ゴボウが言いました。
 「わたしはぜんぜん風呂に入らず体中があかだらけで汚いので、色の白いダイコンさんと一緒に行くことはできません。おとうふさんには、どうかよろしくお伝えください」
 
 そこでダイコンは、ニンジンのところへ行きました。
 「おとうふさんが病気だそうです。二人でお見まいに行きませんか?」
 すると赤い顔のニンジンが、いよいよ顔を赤くして言いました。
 「じつは今、お酒を飲んだばかりです。こんな赤い顔をして、お見まいには行けません。だれかほかの人をさそってください。おとうふさんには、よろしく」
 
 ダイコンはその足で、サトイモのところへ行きました。
 「おとうふさんが病気だそうです。二人でお見まいに行きませんか?」
 すると、小イモたちの世話をしていたサトイモが言いました。
 「それはお気の毒。一緒に行きたいのですが、このとおりたくさんの子どもがいますので、出かけることは出来ません」
 「それじゃ、子どもさんも一緒にどうですか? にぎやかな方が、おとうふさんも喜ぶと思いますよ」
 「とんでもない。子どもたちがさわいだら、おとうふさんの病気にさわります。すみませんが、よろしくお伝えください」
 「それじゃ、しかたがありません。一人で出かけることにしましょう」
 
 そこでダイコンは、一人でとうふのところへお見まいに行きました。
 「おとうふさん、具合はいかがですか? ゴボウさんも、ニンジンさんも、サトイモさんも心配していました。早く元気になってくださいね」
 すると、とうふが言いました。
 「ありがとうございます。おかげさまでだいぶ良くなりました。でも、もう元の体にはもどれません」
 「どうしてですか? そんな気の弱いことを言ってないで、早くまめになってくださいね」
 ダイコンがはげましましたが、とうふはこまった顔で言いました。
 「わたしはとうふですから、まめになることはできません」
 (ああ、なるほど、それはお気の毒に)
 ダイコンは、心の中で言いました。
 
 『まめになる』というのは、『元気になる』という意味です。
 まめはとうふになれても、とうふはまめにはなれないのです。
 おしまい   
 
 
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