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      6月24日の世界の昔話 
          
          
         
        お百姓と悪魔 
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       むかしむかし、とってもかしこいお百姓(ひゃくしょう)が住んでいました。 
 ある日のこと、お百姓はじぶんの畑のまんなかに、ひとかたまりの石炭がもえているのに気がつきました。 
 ビックリしてそばヘいってみると、その石炭の火の上に、まっ黒な小さい悪魔(あくま)がすわっているではありませんか。 
「おまえはきっと、宝物の上にすわっているんだろ?」 
と、お百姓はいいました。 
「そうとも。おまえが生まれてからまだ見たこともないほど、たくさんの金や銀の入った宝物の上にすわってるんだ」 
「それじゃあ、その宝はわしの土地にあるんだから、わしのものだぞ」 
と、お百姓が、いいました。 
「ああ、いいとも。おまえにやるよ。もっとも、二年のあいだ、おまえの畑にできるものを半分だけおれにくれたらの話だがね」 
 お百姓は、大きくうなづきました。 
「よし、きまりだ。けれど、わけるときにけんかをしないように、土の上にできたものはおまえのもの。土の下にできたものはわしのものとしようじゃないか」 
「よし、おれが土の上にできたものだな」 
 悪魔はよろこんで、帰って行きました。 
 ところが、かしこいお百姓は、畑にカブのタネをまきました。 
 さて、いよいよとりいれのときになると、悪魔がやってきて、できたものをもらっていこうとしました。 
 ところが、土の上にできたものをもらう悪魔のとりぶんは、しぼんで黄色くなった葉っぱばかりです。 
「ちくしょう。こんどは、おまえが得をしたが」 
と、悪魔はいいました。 
「このつぎはそうはいかんぞ。土の上にできるものはおまえのもので、土の下にできるものはおれのものにしよう」 
「いいとも。約束しよう」 
 さて、次のタネをまく季節がくると、かしこいお百姓はカブをまかないでムギをまきました。 
 そしてムギがみのったとき、お百姓は畑ヘいって、くきの根もとからムギをぜんぶかりとってしまいました。 
 悪魔がきたときには、切りかぶしかありません。 
 悪魔はプンプンおこりながら、どこかへいってしまいました。 
「はっはっは。うまくいったわい」 
 お百姓はそういって、畑にうまっている宝物をほりだし、大金持ちになりました。 
      おしまい 
                 
         
        
       
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