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 11月26日の日本民話 2
 
  
 イタズラギツネとお面売り
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  むかしむかし、ある山に、いつも人を化かして喜んでいるイタズラギツネがいました。
 ある晩の事、お面売りの男がこの山を通りかかると、イタズラギツネはさっそく真っ黒な化け物に化けて男をおどかしました。
 「おれさまは化け物だ! 今からお前を食べてやるぞ!」
 しかし、お面売りはイタズラギツネの噂を聞いていたので驚きません。
 (ははーん。これはイタズラギツネの仕業だな)
 お面売りは、お面を入れている袋の中から、天狗のお面を取り出してかぶりました。
 「わはははは。おれは人間ではなく、化けダヌキだ。お前の化け方もなかなかだが、おれにはかなうまい」
 「何だと! お前が天狗なら、おれはのっぺらぼうだ!」
 そう言ってイタズラギツネはのっぺらぼうに化けましたが、お面売りは今度はひょっとこのお面をかぶりました。
 「くそ、なかなかやるな。それならこれでどうだ!」
 イタズラギツネは、それから、『一つ目小僧』『ろくろっ首』『大蛇』と化けましたが、お面売りは、『仁王』『赤鬼』『青鬼』『カッパ』『閻魔大王』と、イタズラギツネが化けるよりも早く、次々とお面を取り替えるのです。
 それを見たキツネは、お面売りに頭を下げて言いました。
 「まいった。さすがのおいらでも、そんなに早くは化けられない。しかし、どこでそんな化け方の修行をしたんだ?」
 するとお面売りは、自慢げに言いました。
 「この袋は化け袋と言って、化けるための道具が色々入っているんだ。・・・なんなら、中を見せてやろうか?」
 「うん、見せてくれ」
 「よし、見たければ袋の中に入れ」
 そう言ってキツネが袋に入ったとたん、お面売りは袋の口をキュッと閉めてキツネを捕まえました。
 そして、お面売りからさんざんにお仕置きをされたキツネは、二度と人を化かすことはなかったそうです。
 おしまい   
 
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