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 11月26日の日本民話
 
  
 鳥になったおばあさん
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  むかしむかし、鉄砲打ちのおじいさんが山へ出かけると、今まで見た事がない金色の鳥が飛んでいました。(なんと美しい鳥だ。もしかすると、神さまの鳥かもしれないぞ)
 おじいさんが見とれていると、金色の鳥がおじいさんのそばに来て言いました。
 「どうして、わたしをうたないのですか? 鳥をうたなくては、暮らしていけないのでしょう?」
 するとおじいさんは、首を振って言いました。
 「わしは、ばあさんと二人暮らしだ。お前一羽をうたなくても、なんとか暮らしていけるよ。それに、お前みたいに美しい鳥をうつなんて、わしには出来ないよ」
 「そうですか。では、お二人が楽に暮らしていけるようにしてあげますから、これからは鳥やけものをとるのはやめてくださいね」
 金色の鳥はそう言ったかと思うと、まっすぐおじいさんの家の方へ飛んで行きました。
 (やはり、あの鳥は神さまの鳥かもしれないぞ)
 おじいさんは金色の鳥に手を合わせると、自分の家に帰りました。
 すると不思議な事に、ボロ小屋だった自分の家が立派なお屋敷にかわっていたのです。
 「こりゃ、たまげた!」
 おじいさんがビックリしていると、中からおばあさんが出て来て言いました。
 「おじいさん。さっき立派な身なりの人がやって来て、あっという間に家を屋敷にかえてくれたんです。おまけに米も着物もお金も、どっさりと運んでくれたのです。もう、何が何やら」
 そこでおじいさんは、山で出会った金色の鳥の事を話してあげました。
 「するとこれは、山の神さまのおめぐみかもしれませんね。おじいさん、これからはもう鳥やけものをうつのはやめてくださいね」
 「ああ、もう鉄砲打ちはやめだ。これからは二人で、のんびり暮らそう」
 おじいさんは鉄砲打ちをやめて、おばあさんと二人で静かに暮らしました。
 
 さて、働かなくても暮らしていけるようになった二人は、何をして時間をつぶせばよいのかわかりません。
 ある日、おばあさんがおじいさんに言いました。
 「ああ、たいくつで死にそう。
 もしも鳥みたいに空を飛ぶ事が出来たら、どんなに楽しいでしょうね。
 おじいさん、一度でいいから空を飛べるようにと、金色の鳥にたのんできてくれませんか」
 「空をか、それは楽しそうだ。よし、山へ行って金色の鳥を探してみよう」
 おじいさんが山に行くと、金色の鳥はすぐに見つかりました。
 「金色の鳥さん。おかげで、おだやかな毎日を過ごしているよ。ところで、おばあさんが一度でいいから空を飛びたいと言っているのだが、願いをかなえてやってもらえないだろうか?」
 「わかりました。では、すぐ飛べるようにしてあげましょう」
 そう言って金色の鳥は、おじいさんの家の方へ飛んで行きました。
 
 さて、おじいさんが家にもどるとどうでしょう。
 おばあさんが烏になって、屋根の上に止まっているではありませんか。
 鳥になったおばあさんが、おじいさんに言いました。
 「おじいさん、さっき立派な身なりの人がやって来て、わたしを鳥にしてしまったんですよ。いくら空を飛びたいと言っても、鳥になるのはごめんです。早く金色の鳥にお願いして、元の人間にもどしてください」
 おじいさんはあわてて山へもどると金色の鳥を探しましたが、しかし金色の鳥は二度と姿を現しませんでした。
 
 おじいさんはしかたなく、鳥になったおばあさんと暮らしたそうです。
 おしまい   
 
 
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