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 11月22日の日本民話 2
 
  
 裸のお寺参り
 青森県の民話 → 青森県情報
 
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 制作 : 声のビタミン なっチャンネル
  むかしむかし、ある山のふもとにお寺があったのですが、そのお寺へお参りに来る村の人たちは、不作法にもぞうりのままで本堂へ入ってくるのです。「全く、ここの村人ときたら、作法と言うものを知らんのか」
 そこで和尚さんは本堂ののぼり口に、こんな張り紙をしました。
 《履(は)きものをぬいでください》
 でもこの村には、字を読める人が一人もいません。
 「張り紙があるが、一体なんて書いてあるんだろう?」
 寺にやって来た村人たちが悩んでいると、ちょうどそこへ字の読める男が通りかかりました。
 「ふーん、なるほどなるほど。世の中に変わったお寺もあるものだ」
 男が感心していると、村人たちが尋ねました。
 「お前さんは、字が読めるのか? それなら、何て書いてあるか教えてくれ」
 「ああ、いいとも」
 男はそう言いましたが、でも男が読めるのはひらがなだけで、漢字は全く読めませんでした。
 そこで男は、漢字を飛ばして読みました。
 「ここには、『きものをぬいでください』と書いてある」
 「へえ、本堂にのぼる時は、着物をぬぐのか」
 
 さて、それからしばらくして本堂にやって来た和尚さんは、中を見てびっくり。
 「何じゃこれは?」
 何と村人たちが一人残らず裸になって、並んで座っていたのでした。
 おしまい   
 
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