2月25日の小話
まんじゅう怖い
町内の若い者が二、三人寄り集まって、おしゃべりをしていますと、痩せた青白い顔の男が、
「どうした、どうした」
「実は、おれはまんじゅうがどうしても怖くて怖くて。はっ、早く、どこかへ隠してくれ」
と、言うので、ひとまず物置に隠してやりましたが、いたずら好きの一人が、
「どうもおかしな奴だ。一つ、いたずらをしてやろうじゃないか」
さっそくまんじゅう屋からまんじゅうを買い、
おぼんに山盛りに積んで物置の中へ入れると、戸をぴしゃりと閉めて押さえていました。
ところがしばらくたっても、音一つしません。
と、戸を開けてみると、中の男はまんじゅうを残らず食べてしまい、口のまわりのあんこをべろべろなめています。
「あれっ? お前を脅かしてやろうと思ったのに食っちまうとは、どこが怖いんだ」
「今度は、お茶が怖い、お茶が怖い」 おしまい |
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