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      5月28日の世界の昔話 
        
        
       
ヒツジ飼いの少年 
グリム童話 → グリム童話の詳細 
       むかしむかし、とてもかしこいヒツジ飼いの少年がいました。 
 そのことが王さまの耳に入り、王さまはその少年をお城によびつけると、こういいました。 
「わしがおまえに三つの問(と)いをだす。これにうまくこたえることができたら、わしはおまえをわが子と思って、わしの城においてやるぞ」 
 すると少年がいいました。 
「その三つの問いというのはなんですか?」 
 王さまがいいました。 
「海のなかには水が何てきあるかな?」 
「王さま、地球の上の川をのこらずせきとめてください。そしたら、海の水が何てきあるのか数えましょう」 
 こう少年はこたえました。 
 そこで王さまはいいました。 
「なかなかやるな。では、つぎの間いじゃ。空には星がいくつあるかの?」 
 すると、ヒツジ飼いの少年は、 
「どうか、大きな紙とペンをください」 
と、いって、用意された大きな紙の上ヘ、ペンで一面に小さな点をうちました。 
「できました。空には、ちょうどこの紙の上の点とおなじ数だけの星があります。さあ、かぞえてみてください」 
 まるで見えないくらいの小さい点で、だれにも数えることができません。 
「では三番目の問いはこうじゃ、永遠というものは、何秒だ?」 
 するとヒツジ飼いの少年がいいました。 
「ポンメルンにダイヤモンドの山があります。この山は高さが一里(→やく四キロ)、はばが一里、奥行きが一里あります。このお山へ百年目ごとに一羽の小鳥がやってきて、くちばしをお山でみがくのでございます。こうやって小鳥がきてはみがくために、このお山がのこらずすりへってなくなったときに、永遠の第一秒がたつのでございます」 
 それを聞いた王さまは、ヒツジ飼いの少年にいいました。 
「おまえはこれからは、このお城でわしといっしょにくらすがよい。わしはおまえを、じぶんの子どものつもりでみてやるからな」 
      おしまい 
                  
         
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