| 
      | 
     
        福娘童話集 > お薬童話 > 眠れない時のお薬童話 
         
        
       
三人のなまけもの 
グリム童話 →グリム童話の詳細 
      
       むかしむかし、ある王さまに、三人の王子がいました。 
 王さまは三人ともおなじようにかわいがっていたので、じぶんが死んだあとは、どの王子を王さまにしたものかとなやみました。 
 そしていよいよ、王さまは死ぬというときになって、三人の王子をまくらもとによびよせると、こういいました。 
「子どもたちや、わしはおまえたちのなかで一番のなまけものを、わしの死んだあとの王さまにしようとおもうのだが」 
 すると、一番年上の王子がいいました。 
「おとうさま、それならばこの国はわたしのものでございますよ。なにしろわたしときたら、これからねようと横になっても、目を閉じるのがじゃまくさくて、そのままねむらないでいるのですから」 
 それを聞いた、二番目の王子はいいました。 
「おとうさま、この国はわたしのものでございますよ。なにしろわたしは、火のそばにすわってあたっているときに、いくら火があつくても、足を引っ込めるのがじゃまくさくて、足にやけどをしたくらいですからね」 
 それを聞いた、三番目の王子がいいました。 
「おとうさま、この国はぼくのものですよ。なにしろぼくは、これから首つりにされるとして、もしだれかがよく切れるナイフをもたせてくれて、『これでなわを切るがいい』と、いったとしても、ぼくは手をもちあげてなわを切るくらいなら、だまって首をしめてもらうほうがいいんですからね」 
 王さまはこれをきくと、 
「三番目の王子よ、おまえがいちばんのなまけものだ。じゃあ、王さまにしてやろう」 
と、いったそうです。 
 
 三人の王子のだれが王さまになっても、この国は長くないでしょうね。 
      おしまい 
          
         
  | 
      | 
     |