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 5月27日の世界の昔話
 
 
  
 かしこいお医者のやせ薬
 タンザニアの昔話 → タンザニアの国情報
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 投稿者 「やよい」  YouTube
 
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 投稿者 「ひつじも眠る朗読チャンネル」
 
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 制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
 
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 投稿者 「天乃悠の朗読アート」   天乃悠の朗読アート
 
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 投稿者 「眠りのねこカフェ」
 
  むかしむかし、あるところに、太った女の人がいました。あまりにも太りすぎて、もう歩くのがやっとというありさまです。
 女の人はどうにかしてやせたいと思って、ヨタヨタとお医者のところへ行きました。
 「先生、わたしはドンドン太るばかりで、今にはれつしそうです。ぜひ、やせるお薬をください」
 女の人は、一生懸命に頼みました。
 「今日は、しんさつ代だけ払ってお帰りなさい。明日また、来てください」
 お医者は高いお金をとって、女の人を返しました。
 
 あくる日、女の人はお医者のところヘ行きました。
 お医者は、女の人の頭のてっぺんから足の先までながめました。
 それからお医者は、重々しく話し出しました。
 「奥さん。
 昨日わたしは、2万1783さつの書物を読み、1800万の星をうらなってみました。
 それによると、あなたはあと七日しか命がありません。
 もうじき死ぬのに、薬もいらないでしょう。
 お帰りになって、死ぬ時をお待ちなさい」
 「!!!!!!」
 太った女の人は、それを聞いてガタガタ震え出しました。
 帰る途中も、帰ってからも、死ぬ事ばかり考え続けました。
 朝から晩まで、あと何日、あと何時間生きていられるかと、そればかり考え続けました。
 何にも、のどを通りません。
 夜も、ねむれません。
 女の人は日ましに、いいえ、一時間ごとにやせていきました。
 七日間が、すぎました。
 女の人は覚悟を決めると、しずかに横になって死ぬのを待ちました。
 けれども、いっこうに死にません。
 八日すぎても、九日すぎても、やっぱり死にません。
 十日目になると、とうとう女の人はがまん出来なくなって、お医者のところへかけつけました。
 すっかりやせた女の人は、らくらくと走る事が出来ました。
 「あなたは、何て下手くそなお医者なんでしょう!
 あんなにお金を取っておきながら、人をだましたのね!
 七日したら死ぬっておっしゃいましたけど、もう今日は十日目ですよ。
 この通り、ピンピンしているじゃありませんか!」
 女の人は、ものすごい勢いで文句を言いました。
 お医者は落ち着きはらって聞いていましたが、ふと女の人に聞き返しました。
 「ちょっとうかがいますが、あなたは今、太っていますか? やせていますか?」
 女の人は、答えました。
 「やせましたとも!
 死ぬのがおそろしくて、食べ物ものどを通りませんでしたからね!」
 すると、お医者は言いました。
 「そうでしょう。
 その、おそろしいと思う気持が、やせ薬だったのですよ。
 これでもあなたは、わたしを下手くそ医者だと言われるのですか?」
 「あっ・・・」
 女の人は気がついて、笑い出しました。
 おしまい   
 
 
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