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 川棚川(かわたながわ)のカッパ
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 投稿者 「眠りのねこカフェ」
  むかしむかし、川棚川(かわたながわ)という川のそばに、吾平(ごへい)というお百姓さんが住んでいました。大雨の日の夜、吾平がふとんの中で寝ていると、
 トントン、トントン
 と、戸をたたく音がします。
 「だれじゃ、こんな夜中に」
 吾平が戸を開けてみると、雨の中に人間の子どもみたいなものが立っていました。
 でも、みどり色のぬめぬめとした肌をしているので、人間ではありません。
 「お前は?」
 吾平がたずねると、それは手を合わせて言いました。
 「おいは、そこの川のカッパです。岩穴に住んどるが、戻ってみると怖い物が家の入口をふさいでおる。どうか、どうかその怖い物を退治してください」
 吾平は、このカッパを可哀想に思って言いました。
 「そうか、おいに出来る事じゃったら、何とかしてやろう」
 「ありがとう、家はこっちだ」
 吾平はカッパに案内されるまま、川へと行きました。
 「ここだ。怖い物が、家の入り口をふさいでおるだろ」
 見ると川岸にある岩穴に、どこから流れてきたのか馬ぐわ(まぐわ→馬や牛に引かせて、土をたがやす道具)がはさまっています。
 「怖い物とは、これか? まあ、カッパはむかしから、金物に弱いというからな」
 吾平さんはすぐに川に入って、馬ぐわを取ってやりました。
 するとカッパは、とても喜んで、
 「ありがとう。お礼に、これからは川を守って洪水が出んようにしてやるから」
 と、言って、何度も頭を下げながら川に入っていきました。
 
 それからは大雨で川棚川の水が増しても、吾平の家の周りには何の被害もなかったそうです。
 そして時々、吾平の家の戸口には、おいしそうな川魚が置いてあるのでした。
 一般的にカッパはイタズラ好きの悪い妖怪ですが、川棚川のカッパはとても良いカッパで、村人たちと仲が良かったそうです。
 おしまい   
 
 
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