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 6月9日の日本民話
 
  
 酒好きのおじいさん
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 投稿者 癒しのココロちゃんねる 【睡眠用朗読】
 
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 制作: フリーアナウンサーまい【現役TBS番組キャスター】
 
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 投稿者 「眠りのねこカフェ」
  むかしむかし、あるところに、一軒の酒屋がありました。ある正月の事、この酒屋の店先に見慣れないおじいさんが立っていて、酒屋をじっとながめていましたが、そのうちに大きく頷くと、店の中へと入っていきました。
 「すまんが、酒を一升くれんか」
 「はい、ただいま」
 店の小僧が、一升徳利を差し出すと、
 「おお、これこれ、いい香りじゃ」
 と、おじいさんはそのお酒を、ゴクリゴクリと一気に飲み干しました。
 そしておじいさんは、満足そうに目を細めると、
 「ごちそうさん。うまい酒であった」
 と、そのまま店を出て行きました。
 そしてしばらくしてから、おじいさんに酒代をもらうのを忘れた事を気づいた小僧が、あやまりながら店の主人にこの話をすると、主人は笑いながら小僧を許してくれました。
 「よいよい、正月早々、楽しい話ではないか。それにしても、そんなにうまそうな飲み方をするお方なら、わしも会ってみたいのう」
 さて、あのおじいさんが来てからその酒屋はいつもの年よりも繁盛して、また次の正月を迎えました。
 するとまた、あの時のおじいさんがやって来て、今度はこう言ったのです。
 「すまんが、酒を二升くれんか」
 すると小僧は、去年の正月に主人から言われた事を思い出して、
 「あの、旦那さまが会いたがっていたから、奥へ上ってください」
 と、言うと、おじいさんは雪靴をはいたまま、奥へと上がっていきました。
 主人はそれを見ても気にせず、小僧に酒を二升持って来させました。
 するとおじいさんは、その二升の酒をおいしそうに、ゴクリゴクリと飲み干しました。
 その飲みっぷりがとても見事だったので、主人はほれぼれとしながら尋ねました。
 「今日は、酒屋をやっていてよかったと、つくづく感じ入らせてもらいました。あなたほどの飲み手には、初めてお目にかかりました。ところで、あなたさまはどこのどなたさまでございますか?」
 するとおじいさんはにっこり笑って、
 「わしか? わしは福の・・・。いやいや、それよりも酒を馳走になった礼に、一つ良い事を教えてやろう。この十三日の日に酒樽を三つ、店の前に出しておいてくれんか。そうすれば店は七代栄えるであろう」
 と、言うと帰って行きました。
 さてその十三日の朝、主人はおじいさんの言葉通りに、店先に酒樽を三つ出しておきました。
 すると、さっき出したばかりの酒樽が、気がつくとみんな空っぽになっていたそうです。
 そしてそれからも酒屋は繁盛して、おじいさんの言葉通り、そのまま七代栄えたという事です。
 おしまい   
 
 
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