福娘童話集 > きょうの百物語 福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 8月の百物語 > ハリセンボン(針千本)になった嫁さん

8月3日の百物語

ハリセンボンになった嫁さん

ハリセンボン(針千本)になった嫁さん
富山県の民話富山県情報

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「櫻井園子」  櫻井園子エス代表 《櫻井園子キャンドルWEB販売》

 むかしむかし、富山のある港町に、息子のお嫁さんをいじめるお母さんがいました。

 ある日の事、隣の部屋で自分の裁縫箱(さいほうばこ)をのぞいていたお母さんが、お嫁さんを怒鳴りつけました。 「あんた! わしの針山から、針を盗んだね! 一本、足りないんだよ!」
 むかしの裁縫道具は、女の人の大切な嫁入り道具の一つでした。
 誰もが嫁入りの時に自分の裁縫箱を持って来て大切にし、家族でも勝手にさわる事はしませんでした。
「違います。あたしは、何も知りません」
 お嫁さんが何度も言いましたが、お母さんは聞き入れません。
「まったく、なんて嫁だろうね。
 人の物を盗んでおいて、知らないだなんて。
 人の針を使ったからって、下手な裁縫がうまくなるはずがないのに。
 だいたいあんたは、何をさせてもそうだよ。
 掃除にしろ、料理にしろ、洗濯にしろ、何一つ満足に出来ないんだから。
 あー、やだやだ。
 こんな女が、わしの義娘だなんて。
 息子は、何でこんな能無しを、嫁にしたんだろうね」
 お母さんはそう言って、ネチネチとお嫁さんをいじめました。
 お嫁さんはお婿さんに相談しましたが、お婿さんはお母さんの味方で、お嫁さんをかばってはくれません。
「実家に戻っても、両親に恥をかかせるだけだし。・・・あたし、どうしたらいいんだろう?」
 すっかりまいってしまったお嫁さんは、ふらふらと冬の海へ行くと、そのまま冷たい海に身を投げてしまいました。
 それを知った村人たちはお嫁さんの遺体を探しましたが、それまで静かだった海が大荒れになってしまい、お嫁さんの遺体は見つける事は出来ませんでした。
 でもその代わりに、手まりに針を千本も刺したような不思議な魚が、波打ち際に何十匹も打ち上げられていました。

 土地の人たちはこの不思議な魚を『ハリセンボン(針千本)』と呼び、海に身を投げたお嫁さんを供養する為に、どこの家でも半日だけ針仕事を休むようになったという事です。

おしまい

前のページへ戻る


     8月 3日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
ハサミの日
きょうの誕生花
松葉牡丹(まつばぼたん)
きょうの誕生日・出来事
1965年 藤田朋子(女優)
恋の誕生日占い
失敗を考えない前向きなチャレンジャー
なぞなぞ小学校
王さまに耳と尻尾を付けると、何の動物? (漢字なぞなぞ)
あこがれの職業紹介
作業療法士
恋の魔法とおまじない 216
好きな異性と関係をもつおまじない
  8月 3日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
動くかかし
きょうの世界昔話
ホレのおばさん
きょうの日本民話
けがの功名
きょうのイソップ童話
ハエ
きょうの江戸小話
化け物
きょうの百物語
ハリセンボン(針千本)になった嫁さん

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ