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      9月30日の日本の昔話 
          
          
         
  あぶらあげ 
  烰豆腐 
       
      福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11) 
      
      
      むかし江戸に、おいしいと評判のあぶらあげ屋がありました。 
          頭擺在江戸,有一坎名聲當好个烰豆腐店。  
       
        ある日、このあぶらあげ屋に、身なりのいいキツネ目のさむらいが現れて主人にたのみました。 
          某日,這坎烰豆腐店,一個著著當萋頭、狐狸眼个武士出現,拜託店頭家。  
       
        「百文(→三千円)ほど、いただきたい」 
          「摎你買一百文(約三千円)烰豆腐。」  
       
        「はい、ありがとうございます」 
          「好,承蒙你。」  
       
        主人が百文分のあぶらあげをお皿にのせて差し出すと、さむらいは店先に腰をかけてペロリとたいらげました。 
          店頭家摎百文个烰豆腐用盤仔張等拿分佢,武士坐在店頭前,做下食淨淨。  
       
        「うん、これは評判通りだ」 
          「m11,風聲傳个共樣。」  
       
        それから何日かすると、あのさむらいがまたやってきて、前と同じように百文分のあぶらあげをペロリとたいらげました。 
          過後幾日,該個武士又來,摎前回共樣,買一百文个烰豆腐,坐在店頭前,做下食淨淨。  
       
        「うまい。わたしは日本中のあぶらあげをたべているが、ここのあぶらあげこそ天下一品。なかまにもしらせよう」 
          「好食,𠊎食過全日本个烰豆腐,這位个烰豆腐係天下一等好食,愛講分𠊎朋有知。」  
       
        それを聞くと、主人はおかみさんに言いました。 
          頭家聽著以後,去摎餔娘講︰  
       
        「おい、今のを聞いたか?あのお方は、いなりさんの使いのキツネにちがいないぞ。大事にすれば、わが家はますますさかえる」 
          「噯,頭下講个有聽著無?該儕人定著係狐狸精个小使仔,若係好好照顧,屋下慢慢會旺起來。」  
       
        それから何日かすると、またあのさむらいがやってきて、百文分のあぶらあげをペロリとたいらげました。 
          過後幾日,該個武士又來,買一百文个烰豆腐,坐在店頭前,做下食淨淨。  
       
        けれどためいきをついたりして、これまでとは様子がちがいます。 
          毋過,這擺來到後,緊道嘆,摎往擺無共樣。  
       
        「お客さま。何か、心配事でもあるのですか?」 
          「人客,有麼个心事係無?」  
       
        主人がたずねると、さむらいは恥ずかしそうにいいました。 
          頭家問个時節,武士盡見笑講︰  
       
        「実は、急に京へのぼらねばならなくなったのだが、旅費(りょひ)がたらんのだ」 
          「事實,𠊎無去京城做毋得,毋過,旅費毋罅。」  
       
        「そうでございましたか。あの、お客さまは、大のお得意さまですので、旅費でしたら、わたしどもにおまかせください。で、いかほど、ご入り用なのです?」 
          「係無?因為你係𠊎个大主顧,旅費个事情交分𠊎來處理,愛幾多?」  
       
        「十五両(→百万円ほど)もあればよい」 
          「有十五兩斯做得(約百萬円)。」  
       
        (高いなあ。・・・だが、わが家がはんえいするのなら、安いものだ) 
          (恁多,‧‧‧毋過,若係為著屋下將來會繁榮,該便宜東西。)  
       
        主人は喜んで、十五両のお金をわたしました。 
          頭家當歡喜,拿十五兩分佢。  
       
        お金を受け取ったさむらいは、 
          拿著十五兩个武士講︰  
       
        「五日たてばもどる。それまで、これをあずけておく」 
          「五日後會倒轉來,轉來前這東西搭你。」  
       
      と、キツネの宝物の『宝珠の玉(ほうしゅのたま)』でも入っていそうな包みを差し出して、そのまま立ち去っていきました。 
      就摎張等像形狐狸个寶物『寶珠』包袱交分頭家,斯出去了。  
       
        「おい、今のを聞いたか?五日で京へ行って戻るとは、やはり人間わざではない。きっと、いなり神社の大もとの『伏見(ふしみ)いなり』へ行かれたのだろう」 
          「噯,頭下講个有聽著無?去京城來去五日,普通人做毋到,定著係五穀神社个本廟『伏見五穀神』幫忙正做得到。」  
       
        「そうでしょうとも。これで、ごりやくは間違いありませんね」 
          「當然係啊,所以,𠊎無講毋著。」  
       
        主人もおかみさんも、すっかりその気になりました。 
          頭家摎頭家娘乜恁樣當掛心。  
       
        ところがさむらいは十日たっても、百日たっても帰ってはきません。 
          毋過武士十日過忒、百日過忒都無轉來。  
       
        「これはおかしい。どうも変だぞ」 
          「這還奇怪哦。」  
       
      主人が預かっていたつつみをあけたところ、ただの石ころがゴロンと出てきたそうです。  
      頭家摎搭佢个包袱打開來看,像形斯幾矻石牯gurong聲輪出來。  
        
      おしまい 
      煞咧 
         
       
        
 
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