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3月3日の日本の昔話

タヌキの糸車

タヌキの糸車
狸仔个紡紗機

福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

♪音声配信(html5)
音声 おはなしや

♪音声配信(html5)
音声 琴菜 ASMR

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むかしむかし、山奥に木こりの夫婦が住んでいました。
頭擺頭擺,樵夫兩公婆戴大山肚。


木こりは木を切って炭を焼き、おかみさんは糸車を回して糸をつむいで暮らしていました。

樵夫專門斬樹仔燒火炭,厥餔娘紡紗過日仔。


さて、木こりが仕事でいない昼間、タヌキが時々やって来て食ベ物を食い散らす様になりました。

樵夫日時頭出去做事無在个時節,狸仔時時會來偷東西食,食著搭搭跌,跌著滿哪都係。

それで夫婦は、なベやおひつに大きな石を乗せて、タヌキに食べられない様しました。

所以兩公婆就拿石牯,摎鑊仔、飯甑矺等,分狸仔拿毋著來食。

それでもタヌキは
になるとやってては、家でポンポコとつづみをったり、踊ったりしてぎます

狸仔就在暗晡頭正來,在屋面前pon53 pog53滾打肚屎鼓,跳舞來吵佢。


られなくなったこりはてていました

樵夫暗晡頭睡毋忒,當閼講:

「今に見ておれ。ワナを仕掛けて捕まえてやる!」

「看等,用捕獸網摎佢捉著來!」

それから数日後、月のきれいな晩におかみさんが糸車を回していると、しょうじの破れ目からタヌキの黒い目玉がクルクルと動いているのが見えました。

そしてタヌキはおかみさんの真似をして、糸車を回すかっこうをしました。
幾日以後,一个月光華華个暗晡頭,女主人紡紗个時節,從紙門爛空該看著狸仔个烏目珠仁捩捩轉。續等又學女主人紡紗。


「あら。可愛いタヌキだこと」

「啊!得人惜个狸仔。」


タヌキは、おかみさんをとても喜ばせました。

狸仔著女主人當歡喜。


そして
さらに数日後のある事。
過了幾下日个一暗晡


ギャンギャン!」

gian gian!」

裏山で、タヌキの泣き声がしました。

聽著狸仔在深山肚叫。

おかみさんが見に行くと、あのタヌキがワナにかかって木からぶら下がっています。

女主人就走去看,該條狸仔分捕獸網網著,樹頂墜下來。


「可愛そうに。うちの人が仕掛けたワナにかかったのね」

「恁衰過,分𠊎屋下人安个捕獸網網著个呢!」

おかみさんは、そっとワナを取ってやりました。

女主人煞煞解開捕獸網

「気をつけないと、うちの人にタヌキ汁にされてしまうよ」

「恁無小心,會分𠊎屋下人煮湯食忒哦!」


助けられたタヌキは何度も頭を下げ、何度も振り返りながら森の中へ帰って行きました。

狸仔分佢放忒以後緊頷頭,緊翻轉頭來看,走轉樹林肚去。


冬が来て寒さが強くなると、木こり夫婦はふもとに下りて小さい家で暮らします。

冷天到了,緊來緊冷,樵天兩公婆下山去,轉去細屋仔過日仔。

おかみさんは山の方を見ては、

(あのタヌキ、どうしているのかしら?)

女主人逐日看該山頂,

(該條狸仔到底仰般形了?)。

と、時
タヌキを思い出していました。
常常會想著狸仔

さて
、夫婦はまたってました
春天到了,兩公婆倒轉山頂去戴,


家に入ったおかみさんは、

女主人一落屋,


「あっ!」

と、驚きました。

「啊!」嚇著。

ほこりだらけになっているはずの糸車がピカピカに磨かれていて、その横には真っ白な糸が山の様に積まれているのです。

應該塵灰猛湧个紡車,仰會捽到金晶枠亮,脣頭堆山塞海蓬白个紗線。


「不思議な事」

「想毋解哪!」

おかみさんが、ボーッと見ていると、

女主人、看著:


「さあさあ、いつまでもつっ立っていないで、家の掃除をしろ」

「來啊,毋好長透戇戇企等,來掃屋!」


木こりはそう言うと、炭焼きがまを見に出て行きました。

樵夫講煞就出去看佢个炭窰。

掃除をすませたおかみさんが、かまどでご飯を炊いていると、

女主人屋掃好斯去灶下煮飯个時節,


キイカラ、キイカラ

と、糸車の回る音がしてきました。
聽著紡紗機kikara kikara響。


「おやっ?」

「啊?」


そうっと座敷の方を見たおかみさんは、息をのみました。

女主人看下人客間,敨下大氣。


「タヌキだ」

「係狸仔。」


いつの間にやって来たのか、タヌキが上手に糸車を回して糸をつむいでいたのです。

幾時來个?狸仔盡熟行个在該紡紗


キイカラ、キイカラ

kikara kikara


キイカラ、キイカラ

kikara kikara

おかみさんは声も立てずに、見とれていました。

女主人毋敢出聲,恬恬看。

タヌキは一通り巻き終わると糸をはずして、いつもおかみさんがしていた通りに糸をきれいにまとめて積み重ねます。

狸仔織好就會摎紗剝下來,摎女主人平常共樣,收到好勢好勢疊著亮亮。


そしてタヌキは満足そうな顔をして、あたりを見回しました。

然後狸仔盡滿足樣,四向頭巡下仔。

その目がおかみさんの目と合うと、タヌキはうれしそうにおじぎをして森へ帰って行きました。

當佢摎女主人四目相看个時節,狸仔盡歡喜樣摎女主人行禮、感謝就轉去森林肚。

「タヌキよ、ありがとう。お前のおかげで、今年は楽が出来るわ」

「狸仔哦!承蒙你!打幫你,今年做得快樂過日仔。


おかみさんは恩返しをしてくれたタヌキを、いつまでもいつまでも見送りました。

女主人長透望該報恩个狸仔再過相見面。

 

おしまい
煞咧

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