童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集 福娘童話集 きょうの日本民話
 
     8月10日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
健康ハートの日
きょうの誕生花
ねむのき
きょうの誕生日・出来事
1984年 速水もこみち(俳優)
  8月10日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
彦一のウナギつり
きょうの世界昔話
空飛ぶ木馬
きょうの日本民話
牢の中の娘
きょうのイソップ童話
年をとったライオンとキツネ
きょうの江戸小話
五両と五分
8月10日の広告

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 8月の日本民話 > 牢の中の娘

8月10日の日本民話

牢の中の娘

牢の中の娘
東京都の民話東京都情報

 むかしむかし、一人の娘が両国橋(りょうごくばし)のたもとに倒れていましたが、みんなは通りすぎるばかりで、だれ一人ふりかえろうとしませんでした。
 娘のかっこうからすると、どうやら旅の巡礼(じゅんれい→聖地・霊場を参拝してまわること)のようです。
 さて、もう日がくれかかろうとしているころ、四角い荷物をせおった、若い商人の男が通りすぎようとして、娘に気がつき立ちどまりました。
 娘を見てみると、ひどく疲れた顔をしていますが、ほっそりとした顔立ちで、どことなく品のある娘でした。
「ああ、これはひもじゅうて、歩けんのじゃな」
 その若者は直吉(なおきち)という、貧しい小問物商人(こまものしょうにん→化粧品など、こまごましたもの扱う商人)でした。
 娘がひもじくて動けないのが一目でわかったのは、自分も小さいときから、ひもじい思いをしてきたからです。
 直吉は娘をかわいそうに思い、自分の長屋(ながや)へとつれて行きました。
 そして、少しばかりのこっていたお米でおかゆを作ると、娘に食べさせようとしました。
 ですが娘は、ひと口おかゆをすすると小さな声で、
「ありがとう」
と、いって、そのまま死んでしまったのです。
 直吉は自分の貯金をみんなつかって、なんとか娘の葬式(そうしき)を出してやりました。
 でもそのおかげで食べるものも買えなくなった直吉は、いく日もいく日も、ひもじい思いをしなければなりませんでした。
 ところがある日の朝、直吉が起きてみると、ちゃんと朝ごはんのしたくができているのです。
 そんな事が何日もつづいているうちに、娘の幽霊(ゆうれい)が、米屋や、八百屋(やおや)や、魚屋に現れるといううわさが町に広がりました。
 そして娘の幽霊がきたあとは、かならず店の品物が少しずつなくなっているというのです。
 その話は、町中の評判になりました。
 そしてついに、
「米も、野菜も、魚も、みんな直吉の家へ持っていくんじゃ」
「きっと直吉が幽霊をつかって、ぬすみをはたらかせているにちがいない」
と、いうことになってしまったのです。
 それでとうとう直吉は役人につかまって、取調べをうけることになりました。
「そのほうは、幽霊をつかってぬすみをはたらく、妖術(ようじゅつ)つかいじゃそうな。まこと、それにそういないか?」
「いいえ、とんでもございません! なんでこのわたくしに、そのようなおそろしい妖術などがつかえましょう」
「だまれ! 町の者が、さようにもうしておるぞ。うせた品々(しなじな)はみな、そちの家へまいっておるとな。世をみだす、にっくきやつじゃ。重いおしおきをうけるがよい」
 直吉は罰(ばつ)として、何日も何日も、一人だけの暗い牢屋(ろうや)に放り込まれてしまいました。
 ところがその直吉のとなりには、いつも巡礼(じゅんれい)すがたの美しい娘が、よりそうようにすわっていたという事です。

おしまい

一覧へ移動   このページを閉じる   ホームへ移動

きょうの日本民話
ミニカレンダー
<<  8月  >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識