童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集 福娘童話集 きょうの日本民話
 
     6月11日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
雨漏り点検の日
きょうの誕生花
べにばな(すえつむはな)
きょうの誕生日・出来事
1965年 沢口靖子(俳優)
  6月11日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
黒雲
きょうの世界昔話
ガリバーのぼうけん
きょうの日本民話
旅のどろぼう
きょうのイソップ童話
ウシとガマ
きょうの江戸小話
かまどろぼう
6月11日の広告

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 6月の日本民話 > 旅のどろぼう

6月11日の日本民話

旅のどろぼう

旅のどろぼう
山口県の民話山口県情報

 むかしむかし、お金を持っている旅人について歩いて、すきを見てお金をぬすむドロボウを、『ゴマのハエ』と呼んでいました。
 さて、ある日の事、ある(さむらい)が大切なお金をある場所にかくし持って、江戸から旅に出ました。
 すると、見知らぬ男がやってきて、気やすく話しかけてきました。
 人のよさそうな男で、とても悪人には見えません。
 男がどこまで行くのかと聞くので、侍が答えました。
「せっしゃは、下関(しものせき)までじゃ」
「おお、そいつはよかった。実は私も下関までまいりますゆえ、どうかお供させてくだされ」
 そこで二人は同じ宿にとまって、一緒にふろへ入ったり、一緒に食事をとったりしました。
 最初は何ともなかったのですが、大阪をすぎ、姫路をすぎ、岡山をすぎるころ、男の様子(ようす)が少し変わってきたので、侍はあやしいと思い、思い切って男に、ドロボウではないのかとたずねました。
 すると男は、地面に頭をこすり付けるようにして言いました。
「ははーっ、言い訳はいたしません。実はわたしは、ゴマのハエなのでございます。お侍さまが大金をもっていなさるとにらんで、ついてまいりましたが、どうやっても、どこに隠しておいでかわかりませぬ。わたしの負けでございます。もしお見逃しいただけるのでしたら、このまま退散(たいさん)いたします」
 そういって頭を下げる男に、侍は言いました。
「やはりそうであったか。本来なら役人(やくにん)に引き渡すところだが、何も盗(ぬす)んではおらぬことだし、正直に白状(はくじょう)したので見逃してやろう」
「ありがとうございます。では、これにて」
と、いって立ち去る男を、侍は引き止めました。
「まあ待て。あと一晩とまれば、次の日には下関に着く。宿代はせっしゃが出すゆえ、もう一晩ともに過ごそうではないか」
「これは重ね重ね、ありがとうございます」
 その晩、侍は宿につくと、今までずっと宿の人にあずけていた雨がさを、部屋の床の間へおいて寝ました。
 あくる朝おきてみると、ゴマのハエの男がいなくなっていました。
「さすがに、気まずくなって逃げ出したか。まあよい、お主との旅は楽しかったぞ」
 そして旅支度(たびじたく)をおえた侍が、ふと雨がさに手をやると、雨がさが軽くなっていたのです。
「しまった。やられた」
 侍は、かさのえにかくしていた大金を、まんまと抜き取られてしまったのでした。

おしまい

一覧へ移動   このページを閉じる   ホームへ移動

きょうの日本民話
ミニカレンダー
<<  6月  >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識