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3月8日のイソップ童話
  
  
  
ヒツジ飼いと海
    海岸でヒツジに草を食べさせていたヒツジ飼い(→詳細)が、波もないおだやかな海をながめて、
  「ヒツジをかうよりも、船をつかって商売をするほうがよさそうだ」
  と、考えました。
    そこで、ヒツジをぜんぶ売って、そのお金でナツメヤシの実をかって、船につんで海に出ました。
    ところが、はげしい嵐がおこって船がしずみかけたので、積み荷のナツメヤシの実をぜんぶ海に捨てて、からの船でやっと助かりました。
    その後だいぶたってから、1人の男が同じ海辺にやってきました。
  「ああ、なんとおだやかな、いい海だろう」
    たしかに、そのとき海はしずかでした。
    しかし、あのヒツジ飼いが、その人にむかっていいました。
  「なあに、あなた、この海は、もっとナツメヤシの実が食いたいのですよ。だからわざと、おだやかなふりをしているのです」
  
    この話は、不幸なできごとが、人間にとってよいいましめになる、ということをおしえています。
おしまい