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 つき から ふった もち
 
 (にほんのむかしばなし)(おきなわけんのみんわ)
 
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  むかしむかし、ある ちいさな しま に、おとこのこ と おんなのこ が ふたり で すんでいました。
      
 ふたり は いちにちじゅう あそんで、あそびつかれたら ねむり、め が さめたら また あそぶ という まいにち を すごしていました。
 
 たべものは、よる の きまった じかん に かみさま が つき から もち を ふらせてくれる ので、それを ひろって たべれば よいのです。
 
 
 おとこのこ も おんなのこ も、なぜ つき から もち が ふってくる のか かんがえた こと も ありません。
 
 つきたて の やわらかな もち を おなか いっぱい たべて、みどり の うつくしい しま を かけまわり、
 
 あおく かがやく うみ で およいで くらす まいにち を あたりまえ の ように おもっていました。
 
 
 
 そんな、ある よる の こと です。
 
 いつも の ように つき から ふってきた もち を ひろって たべている と、
 
 ふと、どちらから ともなく こんな こと を はなしあいました。
 
 「ねえ、いままで たべきれない もち は すてていた けど、のこしておけば おなか が すいた とき に たべられるね。
 
 こんや から のこして おこうよ」
 
 「そうね。のこして おけば、よる に もち を ひろわなくても すむわね。
 
 もち の ふる じかん には、ねむたい とき も あるもの」
 
 そこで おとこのこ と おんなのこ は、たべのこした もち を おいておく こと に しました。
 
 ふたり は いいこと を おもいついて、だいまんぞく でした。
 
 ところ が つき の かみさま は、ふたり の おもいつき が きにいりません。
 
 「まいばんまいばん、かならず もち を ふらして やっている のに、とっておく とは なにごとだ。
 
 かみ を しんじて いないのか」
 
 かみさま は、それから もち を ふらす のを やめて しまいました。
 
 おとこのこ と おんなのこ は、あわてて つき の かみさま に おねがい しました。
 
 「かみさま、かみさま、つき から もち を ふらせて ください」
 
 「かみさま、おなか が すいて たおれそう です。いままで の よう に、もち を ください」
 
 けれど つき から もち が ふってくる こと は、にど と ありません でした。
 
 おとこのこ と おんなのこ は つぎ の ひ から うみ へ でて、かい や さかな を とってたべる しか ありません でした。
 
 もう いままで の よう に、あそびたい だけ あそぶ くらし は できない の です。
 
 ふたり は おなか が すく こと など しらなかった むかし を なつかしみ、そして はじめて かみさま に かんしゃ しました。
         おしまい        
 
 
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