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 9月3日の世界の昔話
 
  
 豆の木になった子どもたち
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 ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
 
 投稿者 「眠りのねこカフェ」
 
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 投稿者 「天乃悠の朗読アート」   天乃悠の朗読アート
  むかしむかし、あるところに、青ちゃん、紅ちゃん、白ちゃん、黒ちゃんという女の子がいました。青ちゃんは、いつも緑色の服を着ています。
 紅ちゃんは紅色の服を、白ちゃんは白い服を、黒ちゃんは黒い服を着ていました。
 四人はとても仲良しで、どこへ行く時も一緒でした。
 
 ある十五夜の晩、お祭りがあるというので、四人は山の向こうの村へ出かけました。
 村の子どもたちはみんなまっ白な服を着て、楽しそうにおどっています。
 子どもたちは四人を見ると、すぐにそばにやってきて、
 「一緒におどろうよ」
 と、言ってくれました。
 でも、四人は、
 「よその子とおどるのはいや!」
 と、言って、四人だけで手をつないでおどりました。
 「なんて、わがままな子どもたちだ」
 ヤシの木の上にいた風じいさんが、顔をしかめました。
 「おーい、雲ばあさん、ちょっくら月姉さんのとこへ行って、四人の子どもをしかるように言ってくれ」
 そう言って風じいさんは、雲ばあさんの空高く背中を押しあげました。
 そのいきおいで、雲ばあさんは月姉さんのところまで登っていくと、
 「月姉さん、あのわがままな四人の子どもを、しかっておくれ」
 と、言いました。
 月姉さんも、さっきから四人を見て怒っていたので、
 「わかりました。あの子どもたちを、豆の木に変えてしまいましょう」
 と、月姉さんは手に持っていた魔法の杖を、さっとひとふりしました。
 そのとたん、青ちゃんは青豆の木に変わりました。
 そして紅ちゃんはあずきの木に、白ちゃんは白豆の木に、黒ちゃんは黒豆の木に変わりました。
 それから村の子どもたちも、みんな仲良くなるようにと、イネのなえに変えてしまいました。
 「みんなが仲良く出来るようになったら、また出てきますからね」
 月姉さんはそう言うと、雲ばあさんの後ろに姿をかくしてしまいました。
 
 やがて田んぼの中のイネも、そのまわりにある四本の豆の木もぐんぐん大きくなり、イネからはお米が、四本の豆の木からは、青豆と白豆と黒豆とあずきが飛び出してきました。
 そして村人たちは十五夜の晩になると、この豆やお米を一緒に煮込んで、おいしいおかゆをつくることにしました。
 そして村人が、そのおかゆをお月さまにお供えして、
 「お月さま、みんな仲良くなりましたよ」
 と、言って手を合わせると、
 「そう。それはよかったわ」
 と、お月さまはとても喜んで、雲の中から顔を出してくるのです。
 おしまい   
 
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