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 9月14日の日本民話 2
 
  
 百足の大きなわらぞうり
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  むかしむかし、ある静かな村の近くに、悪人たちが住み着くようになりました。悪人たちは村にやって来ては暴れ出し、お金を取ったり女の人をさらったりしたのです。
 そんな事が何年も続いたので、村人たちは庄屋さんの家に集まると相談を始めました。
 「こうなれば、代官さまに訴えよう!」
 「しかし、あいつらは代官に訴えると、村を焼き払うと言っているぞ」
 「それなら、村人みんなで戦おう!」
 「戦うと言っても、あいつらは武器を持っている。下手をすれば、村人がほろびるぞ」
 話し合いは、何日も何日も続きました。
 
 そんなある日、一人の老人が言いました。
 「みんなで、大きなわらぞうりをたくさん作ろう。そして村に悪人退治の男たちがやって来たと、うわさを流すんじゃ」
 「なるほど、それは名案だ」
 村人たちはさっそくわらを持ち寄って、大きなわらぞうりを百足作りました。
 そしてそのわらぞうりをわざと見えるところに置いて、こんなうわさを流したのです。
 『村では悪人退治をするために、都から百人の力自慢を呼び寄せた。準備が整い次第、百人の力自慢が悪人退治を始める』
 そのうわさを聞いた悪人たちが村へ行くと、あちこちの家に大きなわらぞうりが置いてあります。
 「うわさは本当だ! 百人の力自慢はすでに村へ来ていて、村人たちの家に泊まっているに違いない」
 そう思った悪人たちは退治されては大変だと、あわてて遠くへ逃げて行ったという事です。
 おしまい   
 
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