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 9月14日の小話 
 お地蔵さまのずきん   近目(ちかめ→近眼の事)の男が旅に出て、道にまよってしまいました。「はて、この道は、さっきも通ったような」
 困っていると、向こうに人が立っているのが見えました。
 「これは、ありがたい」
 近目の男は道ばたに立っていた石のお地蔵(じぞう)さまを人と間違えて、お地蔵さまに近づいて行きました。
 「もしもし、近江の国(おうみのくに→滋賀県)へ行くには、どちらの方へ行ったらよろしいのでしょうか?」
 すると、お地蔵さまの頭にとまっていたカラスがパッと飛び立ち、それっきり、しーんとしています。
 「もしもし、近江への道は?」
 「・・・・・・」
 返事がないので、男は怒って言いました。
 「ええい、何という意地悪なやつだ。だまったまま教えぬとは! それならおれだって、お前さんのずきんが飛んでいった事を教えてはやらないぞ!」
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
  
 
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