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11月25日の日本民話

水かけ地蔵

水かけ地蔵
長崎県の民話長崎県情報

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 むかしむかし、平戸の町に、天叟公(てんせいこう)という、とても立派な殿さまがいました。
 殿さまは戦も強くて知恵にもすぐれた人でしたが、年を取ると子どもに国をゆずって、肥前(ひぜん)の江迎(えむこう)に隠居(いんきょ)したのです。
 その時に殿さまは、国のみんなが仲良く暮らすようにと、一体の地蔵をきざんでお堂にまつりました。
 そしてそれから百年ほど間、地蔵は国のみんなを見守りながら、お堂の中ですごしたのです。

 ある日の事、村の子どもたちがお堂の中の地蔵を見つけました。
「地蔵さん、おらたちと一緒に川で遊ぼう」
 子どもたちは近くの川に地蔵をかつぎ出すと、水をかけたり沈めたりして遊び始めたのです。
 そこへ、一人の役人が通りかかりました。
 役人は、地蔵で遊んでいる子どもたちを見て驚き、
「こら! 何をするか、このばちあたりども!」
と、大声でどなりつけて、子どもたちを追い払いました。
 そして役人は地蔵をお堂にもどすと、子どもたちがいたずら出来ないように、しっかりとカギをかけたのです。
「やれやれ、これで安心だ。地蔵さま、もう二度と、子どもたちには手を出させませんから」

 ところがその晩、役人は急に高熱を出して苦しみはじめたのです。
 家の者が医者を呼んで薬を飲ませても、まったく効き目がありません。
 どうしたものかと家族が見守っていると、不思議な事に役人は眠ったまま、こんな事をしゃべり始めたのです。
「せっかく子どもたちと遊んでおったのに、お堂に閉じ込めるとは何事じゃ! はやくわしを、自由の身にしてくれ! もう、お堂の中はいやじゃ!」
 これを聞いた家の者は、びっくりです。
「これは、昼間の地蔵さまに違いない」
 そこでさっそくお堂から地蔵を出すと、役人の熱がうそのように下がったのです。
 それ以来、この地蔵はお堂ではなく、寿福寺という寺に安置されました。
 そして無病息災(むびょうそくさい)を祈って、毎年八月に千灯籠祭り(せんとうろうまつり)が行われるようになったのです。

 その時、子どもたちが青ふんどしにはっぴ姿で、
「わっしょい。わっしょい」
と、地蔵をかついで近くの嘉例川(かれいがわ)に入り、四方八方から地蔵に水をかけて地蔵と遊ぶのです。
 このあと地蔵は町中をねり歩き、やってきた子どもたちに水をあびせます。
 この水を浴びた子どもは、病気をしないと言われています。

おしまい

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