今日の江戸小話 福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 9月の江戸小話 > へと思え

9月10日の小話

へとおもえ

へと思え

♪おはなしをよんでもらう(html5)
朗読 : 青のぷよの世界♪

 ある秋の日、にわかに表が騒がしくなりました。
「何事だ?」
 町の世話役(せわやく)が飛んでいくと、一人のさむらいが小僧の太助(たすけ)の胸ぐらをつかんで怒鳴っていました。
 さむらいは、今にも刀を抜きそうな様子です。
「も、もし。おさむらいさま。ちょ、ちょっと、お待ちくださいませ。一体この男が、どんなふらちをいたしましたので」
「なにっ! そういうお前は、何者だ!」
「へい。この町内の世話役をしている者で」
「さようか。実はこやつ、拙者(せっしゃ→武士が、自分をふりくだっていう言葉)のはかまに水をかけておきながら、ただの一言もわび(→あやまること)をいたさぬ。そればかりか、『さむらいなどは、屁(へ)とも思わぬ』と、ぬかしおった。実に無礼(ぶれい→しつれい)せんばん。こうなれば、切ってすてるわ!」
 さむらいはついに、刀を抜きました。
「ま、まあ、どうか、ごかんベんのほどを」
 町の世話役が、何度も何度も地面に頭をこすりつけて謝ったので、さむらいはやっと刀をおさめました。
 さむらいは、太助をにらみつけると、
「えい、この命みょうがの男め。すててはおけぬやつじゃが、世話役の言葉にめんじて許してつかわす」
と、言って、やっと帰っていきました。
 その後ろ姿が見えなくなると、世話役は、ホーッと胸をなでおろして、太助にしみじみと言い聞かせるのでした。
「のう、太助。これからはこれにこりて、二度と屁とも思わぬなどと言ってはならぬぞ。おさむらいさまを見たら、屁と思えよ」

♪ちゃんちゃん
(おしまい)

前のページへ戻る

     9月10日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
屋外広告の日
きょうの誕生花
秋海棠(しゅうかいどう)
きょうの誕生日・出来事
1985年 松田 翔太 (俳優)
恋の誕生日占い
太陽の様に明るく、人を引きつけるオーラの持ち主
なぞなぞ小学校
土が好きな魚は? (漢字なぞなぞ)
あこがれの職業紹介
パピートレーナー
恋の魔法とおまじない 254
運気を回復するおまじない
  9月10日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
彦一の生き傘
きょうの世界昔話
ほら吹き男爵 八本足のウサギ
きょうの日本民話
若い男に化けた鬼
きょうのイソップ童話
盗みをする子どもと母親
きょうの江戸小話
へとおもえ
きょうの百物語
朱の盤の化け物

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ