| 福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 2月の江戸小話 > 井戸掘り
 2月16日の小話 
 井戸掘り
 ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
 
 投稿者 「フー」  ハーリ・クィン朗読館
   大きな仕事をするために、田舎から大勢の井戸(いど)掘りや大工たちが江戸へやって来ました。そして井戸掘りや大工たちは、けちで有名なけちべえさんの長屋(ながや→むかしの集合住宅)に入りました。
 
 ある日の事、けちべえさんが新しい井戸を掘らせようと、井戸掘り職人たちに頼んでみると、
 「へい。お世話になっていますから、一両(→7万円ほど)でお引き受けしましょう」
 と、言いました。
 高い値段を言ったら、『長屋から追い出すぞ』と脅してやろうと思っていたのですが、意外にも安い値段だったので、けちべえさんは喜んでさっそく掘ってもらう事にしました。
 すると井戸掘り職人たちは、庭に川の様に横に長い物を掘り始めたのです。
 それを見て驚いたけちべえさんが、
 「これこれ、井戸を掘るんだぞ。横に掘ってどうする」
 と、言うと、井戸掘り職人たちは、すました顔で言いました。
 「いやいや、安心して見ててください。こう横に掘っておいて、後で縦に立てますから」
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
  
 
 
 |