|  |  | 福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 1月の江戸小話 > 金箱のかぎ
 1月30日の小話 
 金箱のかぎ   大阪の商人が、四、五人そろって、旅あきないに出ました。品物をみんな売り尽くしての帰り道、みんなは一緒の宿に泊まりました。
 商人たちは寝る前に、それぞれお金をかぎのかかる金箱(かねばこ→金銭・財宝を入れておく箱)に入れました。
 そして、ふろしきに包んで、まくら元に置いて寝たのです。
 ところが次の朝、目を覚ましてみると、一人の商人の風呂敷包みがありません。
 他の者は大変気の毒がって、あちらこちら探しましたが見つかりません。
 「どうもこれは、夜の間に盗まれたに違いない」
 みんなは、残念そうにため息をつきました。
 ところが盗まれた本人は、けろっとして、
 「みなさん。まあ、そう、ご心配くださいますな」
 と、財布の中から、かぎを取り出して見せました。
 「ほれ、この通り、かぎはこちらにございます。盗まれた金箱には、ちゃんとかぎをおろしておきましたから、ご心配はご無用にねがいいます」
 それを聞いた仲間の一人が、
 「のんきだねえ、かぎがなくったって、あんな金箱、簡単に壊されて、中身はもう盗られてしまっているだろうに」
 「あっ、・・・・・・」
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
  
 
 
 |  |  |