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9月22日の百物語

てんとうさんと金のくさり

金のくさりと腐ったなわ
佐賀県の民話佐賀県情報

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人もぐっすり眠れる朗読】日本昔話やまんば特集 元NHKフリーアナ 優しい女性の声で読み聞かせ

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】

♪音声配信(html5)
朗読者 : ぬけさくのいちねん草紙

 むかしむかし、あるところに、お母さんと三人の子どもがいました。
 お母さんは庄屋さんの家のお手伝いをして、三人の子どもを育てています。

 ある日の事、お母さんはいつもの様に庄屋(しょうや)さんの家へ出かけて、帰りに三つのおにぎりをもらいました。
「おいしそう。子どもたちが喜ぶだろうなあ。さあ、はやく帰ろう」
 お母さんが山道を急いでいると、突然に山姥(やまんば)が現れたのです。
「い、いのちだけは、お助けを。その代わりに、このおにぎりを差し上げますから」
 お母さんがおにぎりを差し出すと、山姥はおにぎりをペロリと食べて、そしておびえているお母さんまでも食べてしまったのです。

 さて、子どもたちが家で留守番(るすばん)をしていると 「トントントン」 と、戸を叩く音が聞こえてきました。
「お母さんだよ、開けておくれえ」
 でもその声は、おそろしくガラガラな声でした。
「お母さんは、そんな変な声じゃない。お前は、山姥だろう」
「くそーっ、見破られたか」
 正体を見破られた山姥は、山へ行くと声が良くなる木の実を食べました。
「お母さんだよ、開けておくれえ」
 声はお母さんに似ていますが、子どもたちは用心(ようじん)して言いました。
「じゃあ、手を見せておくれよ」
 子どもたちに言われて、山姥は戸のすき間から手を差し入れました。
 するとその手は、黒くて毛むくじゃらです。
「お母さんの手は、そんなに黒くて毛むくじゃらじゃない。お前は、山姥だろう」
 また正体を見破られた山姥は手の毛をむしり取ると、畑に行って山イモを手に塗りつけました。
「今度こそ、本当のお母さんだよ。開けておくれえ」
 山姥は、戸のすき間から手を差し入れました。
 手に山イモを塗りつけたので、手はまっ白ですべすべです。
「すべすべの白い手だ。わーい、本当のお母さんが帰って来たんだ」
 子どもたちが戸を開けると、お母さんに化けた山姥は一番小さな弟を抱きかかえて、さっと部屋に閉じこもってしまいました。

 しばらくして上の二人の兄弟が、お母さんに声をかけました。
「お母さん、ご飯はまだ?」
 すると部屋の中から、こんな答えが返ってきました。
「お前たちの弟は、うまかったよ。次はお前たちを食ってやるから、しばらくお待ち」
 これを聞いて、二人の兄弟はびっくりです。
「あれは、お母さんじゃない! 山姥だったんだ! 弟は山姥に、食べられてしまったんだ!」
 そこで兄弟は家を抜け出すと、いちもくさんに逃げ出しました。

 兄弟が逃げ出した事に気がついた山姥は、すごい速さで兄弟を追いかけました。
「こら待てぇ! 逃がしてなるものか!」
「もう駄目だ、このままでは追いつかれてしまう」
 ふと前を見ると、すぐ先に大きな木があります。
 兄弟は持っていたナタで木に切れ目をつけて、木を登って行きました。
 やがて追いついた山姥が、木の下から怒鳴りました。
「やい、お前たち! どうやって、この木に登ったんだ?!」
 すると、上の兄が言いました。
「簡単さ。手につばをつけて登るんだよ」
 山姥は言われた通りに手につばをつけて登ろうとしましたが、手がツルツルとすべって登れません。
 それを見ていた二番目の兄弟が、思わず言いました。
「馬鹿だな。ナタで切れ目をつけて登ればいいのに」
「そうかい、それはいい事を聞いたよ」
 山姥はナタを持っていなかったので、鋭い爪で木に切れ目を入れながら、どんどんと木を登って行きました。
「大変だー」
 兄弟はあわてて上へ登りますが、もう木のてっぺんまで来ているので、これ以上は上に行けません。
 そこで兄弟は、空に向かってお祈りをしました。
「おてんとうさま、おてんとうさま。どうかぼくらを、助けてください。空から金のくさりを、下ろしてください」
 すると空から、金のくさりがするすると下りて来たのです。
「ありがとう、おてんとうさま」
 兄弟が金のくさりにつかまると、金のくさりは兄弟をぶら下げたまま空へと登って行きました。
 それを見ていた山姥も、兄弟の真似をして言いました。
「おてんとうさま。こっちにも、くさりを下ろしてくだされ」
 すると今度はくさりではなく、腐ったなわが下りて来ました。
 そこで山姥が腐ったなわにつかまると、腐ったなわはプツリと切れてしまい、山姥は地面へとまっさかさまに落ちて行ったのです。

 こうして助かった兄弟は、やがて夜空に光り輝く兄弟星になったと言う事です。

おしまい

ささずんと昔話講座 第12話【天道さん金の鎖】

読者の「NS.MOOOON」さんの投稿作品。

知っているようで知らない日本昔話を、ゆっくりの解説でずんちゃんとささらちゃんが学んでいく動画です。

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→ てんとうさんと金のくさり

→ オオカミと七匹の子ヤギ

→ ヘンゼルとグレーテル

→ 金のくさりと腐ったなわ

ささずんと昔話講座 番外編03話【山姥始譚】

読者の「NS.MOOOON」さんの投稿作品。

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