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7月27日の百物語

娘の骸骨

娘のガイコツ
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 むかしむかし、お酒好きのおじいさんが、お酒を持って浜辺へ散歩に出かけました。
 おじいさんは浜辺でちょうど良い大きさの石を見つけると、そこに腰をかけてお酒を取り出しました。
「天気も良いし、ながめも良い。今日はここらで、一杯やるか」
 そして飲み始めて良い気分になったおじいさんが、ふと足元を見ると、ガイコツが転がっていたのです。
「これはこれは、いかなる人のガイコツかは知らぬが、お前さんも一杯やりなされ」
 おじいさんはガイコツにお酒をそそぎかけると、陽気に歌を歌って楽しい時間を過ごしました。

 やがて酒を飲み尽くしたおじいさんが帰ろうとすると、後ろから声をかける者がありました。
「もし、おじいさま、ちょっと待って下さい」
 おじいさんが振り返ると、十七、八歳の美しい娘が立っていました。
 娘は、おじいさんににっこり微笑んで言いました。
「今日はおじいさまのおかげで、本当に楽しかったです。よければ、お礼をしたいと思います」
 おじいさんは、首を傾げました。
「はて? こんな美しい娘さんに知り合いは無いし、お礼をされる様な事は何もしとらんぞ。
 ・・・ははーん、さてはお前、キツネだな」
「いいえ。
 おじいさま、よく聞いてください。
 わたしは三年前のちょうど今頃、川で溺れて死んでしまい、そのまま海に流されて、この砂浜にたどり着いたのです。
 この月の二十八日は、わたしの三年忌で、家で法事があります。
 その日にお礼をしますから、その日は必ずここに来てください」
「なるほど。
 あんたは、あのガイコツであったか。
 よし、わかった。
 二十八日に、また来よう」
 おじいさんは娘と約束をすると、帰って行きました。

 二十八日になりました。
 おじいさんが浜辺へやって来ると、先に待っていた娘がおじいさんを隣村の大きな屋敷に案内しました。
 その屋敷では娘の言葉通り、法事が行われています。
 見知らぬおじいさんがやって来た事に気づいた屋敷の主人が、おじいさんに尋ねました。
「あの、あなたは、どこのどなたさまですか?」
「ああ、わしはこの娘に連れられて・・・。おや?」
 おじいさんは娘を振り返りましたが、娘の姿は消えていました。
 そこでおじいさんは、今までの事を家の主人に話して聞かせました。
 すると家の主人は驚いて、おじいさんに頼みました。
「それは間違いなく、わたしの娘です。ぜひ、その浜辺へ案内してくだされ」
 そこでおじいさんは、屋敷の人たちをあの浜辺へ案内してやりました。
 ガイコツを見た主人は一目で娘に間違いないといって、娘の骨を持ち帰ると改めて法事をやり直しました。
 そしておじいさんは主人からたくさんのお礼をもらって、大好きなお酒を思う存分飲む事が出来たそうです。

おしまい

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