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 7月27日の日本の昔話
 
  
 やみ夜のカラス
 吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて
 
 にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
 
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 制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
 
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 投稿者 「癒しの森っ子」
 
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 投稿者 「きべだよ。」
 
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 投稿者 「テツの朗読チャンネル」
 
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 投稿者 「眠るうさぎのささやく読み聞かせ」
  むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
 ある日の事、きっちょむさんが町へ野菜を売りに行ってみると、大工の熊さんが、せがれの定坊(さだぼう)のえり首をつかんで大声でどなっています。
 この熊さん、大工の腕は良いのですが、とても怒りっぽい人です。
 えり首をつかまれた定坊は、
 「ごめんなさい、ごめんなさい」
 と、泣いてあやまっていますが、熊さんは許そうとはしません。
 子ども好きなきっちょむさんは、二人の間に割っては入りました。
 「まあまあ、熊さん。一体、どうしたと言うんですか?」
 すると熊さんは、すみでまっ黒に塗りつぶされた、絵を描く絹の布を見せて、
 「きっちょむさん、これを見てくれよ。わしは絵が好きだから、絵の先生に何かを描いてもらおうと思って、この絵ぎぬを買ってきておいたんだ。すると定坊の奴が、いたずらをしてこんなにすみを塗ってしまったんだ。これでは使い物にならない」
 「なるほど。ちょっと、見せてください」
 きっちょむさんはその絵ぎぬを受け取って、つくづくとながめてから言いました。
 「熊さん、定坊は、とても絵がうまいね」
 「な、なんだって?」
 「定坊は、いたずらをしたんじゃなくて、やみ夜にカラスがいるところを描いたんだよ」
 「えっ? やみ夜のカラスだって? ・・・なるほど、だからまっ黒というわけか。わはははははっ」
 きっちょむさんのとんちに、さすがの熊さんも、お腹をかかえて笑い出しました。
 そして、すっかり機嫌を直した熊さんは、
 「定坊、もう、やみ夜のカラスを描くんじゃないぞ」
 と、許してやりました。
 おしまい   
 
 
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