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5月25日の百物語

おどぼう池

おどぼう池
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 むかしむかし、ある長者の家に、『おどぼう』という名前の若い使用人がいました。
 このおどぼうは同じ村の娘『およね』と恋仲だったのですが、長者の息子がおよねの事を好きになってしまったのです。
 およねの家は長者から田畑を借りて暮している小作なので、長者が娘を嫁に出せと言えば断る事が出来ません。
 それどころか、およねの両親は玉の輿だと喜んで、秋の取り入れが済んだらおよねを長者の家に嫁入りさせると決めてしまったのです。

 嫁入りの日が近づくにつれて、おどぼうもおよねも、すっかり元気がなくなってしまいました。
 しかし他のみんなは二人の恋仲を知らないので、元気がない事にさえ気がつきません。

 そしていよいよ嫁入り直前の秋の夜、悲しい事におよねは山奥の池に身を投げて死んでしまいました。
「およねは、どうして死んでしまったんだ?」
「もうすぐ長者の家へ、嫁入り出来るというのに?」
「一体、何の不満があったのだろうか?」
 みんなは、およねが死んだのが不思議でなりません。
 ただ一人その理由を知っているおどぼうも、人前では悲しみをがまんして普段通りに振る舞っていました。

 それから一年ほどたったある日の事、おどぼうが、およねの死んだ池のそばで仕事をしていると、大きな赤色のドジョウが出てきたのです。
「赤色とは珍しい。そう言えば、およねは赤色が好きだったな」
 おどぼうはドジョウを捕まえると、逃げない様に近くの水たまりに入れておきました。
 そして夕方になり、おどぼうが帰ろうとした時、
「おどぼうー。おどぼうー」
と、誰かが呼ぶ声がしたのです。
「はて? 誰だろう?」
 その声が池の方から聞こえて来たので、はっと、ドジョウの事を思い出したおどぼうは、
「おお、そうだった。水たまりに入れたままで、可哀想な事をしたな」
と、ドジョウを池に放して、再び帰ろうとしました。
 すると、また、
「おどぼうー。おどぼうー」
と、池の底から声が聞こえて来るのです。
 その声を聞いたおどぼうは、びっくりしました。
「およね? ・・・その声は、およねだな!」
 なんと池から聞こえて来た声は、死んだおよねの声だったのです。
「およね! 今行くぞー!」
 おどぼうはそう叫ぶと夢中で池へ飛び込んで、そのまま二度と浮いてはきませんでした。

 それ以来、村人たちこの池を『おどぼう池』と呼ぶ様になったそうです。

おしまい

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