福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 4月の百物語 > 百物語から一年目

4月20日の百物語

百物語

百物語(百物語から一年目)

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「櫻井園子」  櫻井園子エス代表 《櫻井園子キャンドルWEB販売》

♪音声配信(html5)
朗読者 ; 創作活動のサイト 『Web団 零点』

 むかしむかし、ある村の寺に集まった若者たちが、百物語を始めました。
 本堂には百本のろうそくが立てられ、怪談を語り終えた者から順番に一本ずつろうそくの灯を消していき、最後の百話が終わる頃には夜もふけていました。
 最後まで寺に残っていた庄屋の息子と刀屋の息子は、同じく最後の話を語った小坊主のすすめで、そのまま寺の本堂に泊まる事にしました。

 三人は仲良く並んで横になると眠りにつきましたが、庄屋の息子だけは、どうにも寝つかれなくて、夜明けが来るのをぼんやりと待っていました。
 その庄屋の息子の目に、ふいに白い物がうつったかと思うと、それはしだいに形を整えていき、長い髪の女が恨めしそうに立っているのがはっきりと見えてきました。
 女はまず小坊主のところへ行って、白い息を吹き込みました。
 次に刀屋の息子にも、同じ事を繰り返しました。
(ああ、今度はおいらの番だ。おいら、死ぬのかな)
 庄屋の息子は、ブルブルと震えながら固く目を閉じていると、
 コケコッコー!
 外で一番鳥が鳴いて、女の気配が急になくなりました。
 庄屋の息子は目を開けて女のいない事を確認すると、すぐに横の二人をゆさぶり起こしました。
 でもすでに、二人とも死んでいたのです。

 命拾いをした庄屋の息子は、氏神(うじがみ)さまへお礼と厄払いをかねて、二十一日間の願掛けをしました。
 その帰り道に、とても美しい女に出会った庄屋の息子は、不思議な縁を感じてその女と所帯を持ち、幸せな一年を夢の様に過ごしました。
 そして何気なく、一年前の恐ろしい出来事を思い出した庄屋の息子は、髪をとかしている女房の顔を見て、はっとしました。
(今になって気づいたが、女房の顔は、あの時の女の顔にそっくりだ)
 でもそれに気が付いた時には、庄屋の息子は死んでいたのです。

 この日はちょうど、百物語の夜から一年目だったそうです。

おしまい

前のページへ戻る

     4月20日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
逓信記念日
きょうの誕生花
海棠(かいどう)
きょうの誕生日・出来事
1977年 広瀬 康幸 (タレント)
恋の誕生日占い
夢を追いかけ、それを実現できる実力の持ち主
なぞなぞ小学校
顔のしわはのばせないけど、服のしわをのばせる物は?
あこがれの職業紹介
パソコンインストラクター
恋の魔法とおまじない 111
悪い男・悪運をよせつけない
  4月20日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
病気のお見舞い
きょうの世界昔話
水晶のオンドリ
きょうの日本民話
養老の滝
きょうのイソップ童話
オオカミとサギ
きょうの江戸小話
しゃっくり侍
きょうの百物語
百物語から一年目

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ