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 1月15日の百物語
 
  
 カッパのかんざし
 和歌山県の民話 → 和歌山県の情報
 
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          | ♪音声配信(html5) |  
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          | 朗読者 : 台湾居住者 Judy |   むかしむかし、紀伊の国(きいのくに→和歌山県)に住むカッパは、他のカッパと違って頭にきれいなかんざしをさしていました。そのカッパが住んでいる温川(ぬるみがわ)の近くの村に、『しげの』と言う可愛い娘が住んでいたのです。
 しげのは、とてもおしゃれが好きな娘です。
 村人たちからカッパのかんざしの話を聞いたしげのは、
 「一度でいいから、そのカンザシを見てみたいな」
 と、親が寝しずまるのを待って家を抜け出すと、カッパがいる川へと出かけたのです。
 
 「カッパ、いないな・・・」
 その日はカッパの姿がありませんでしたが、しげのはそれから何日も何日も夜になると川へ出かけて、ついにカッパを見つけたのです。
 「・・・きれい」
 カッパのかんざしは月の光にキラキラと輝いて、夢の様な美しさです。
 「ああ、一度でいいから、あのカンザシをさしてみたいな」
 しげのはすっかり、カッパのかんざしに心を奪われてしまいました。
 そしてそれからも毎晩の様にカッパを見に行ったしげのに、ある晩カッパが、しげのに向かっておいでおいでと手招きをしたのです。
 しげのはカッパに招かれるままに川の中に入って行き、そして二度と帰っては来ませんでした。
 
 この事があってから、村人たちはしげのが消えた場所を《シゲノ淵》と呼ぶようになったそうです。
 おしまい 朗読者情報 台湾居住者 Judy
 日本で20年の生活を経た後、本国の台湾に戻ったジュディーは日本と台湾の架け橋となり、通訳、翻訳、日本語教師を経験後、現在は日本語を使い、様々な分野の録音に携わっています。
 台湾日文配音者です。
 朗読に関するご意見ご要望はjudy.yen1204@gmail.comまでお願いいたします。
   
 
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