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9月29日の日本の昔話

ネズミのすもう
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「もちがたる。」
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も子供も眠れる睡眠朗読】名作日本昔話 特選9話 元NHKフリーアナお話読み聞かせ
♪音声配信(html5) |
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音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP |
むかしむかし、あるところに、貧しいけれど心のやさしいおじいさんとおばあさんがいました。
ある日の事、おじいさんがいつものように山へ行くと、
「ハッケヨイ! ノコッタ、ノコッタ」
と、いう声が聞こえてきます。
「はて、なんの声だろう?」
おじいさんがのぞいてみると、二匹のネズミがすもうをとっていました。
「あれは、うちのやせネズミと、金持ちの家のふとっちょネズミだ」
おじいさんの家に住んでいるやせネズミは力がないため、何度やってもふとっちょネズミにまけてしまいます。
おじいさんは家にかえると、おばあさんにネズミのすもう話をしました。
「あれじゃあ、かわいそうだ。なんとかして、うちのやせネズミに勝たせてやりたいねえ」
するとおばあさんが、
「それじゃあ、うちのやせネズミに、おもちを食べさせてやりましょうよ。きっと、力がつきますよ」
「そうじゃ、それがええ」
おじいさんとおばあさんはさっそくおもちをついて、やせネズミの住んでいる穴に転がしてやりました。
さて次の日、やせネズミとふとっちょネズミは、またすもうをとりました。
でも今日はおじいさんの家のやせネズミが、何度やってもすもうに勝つのです。
ふしぎに思ったふとっちょネズミが、やせネズミにたずねました。
「やせネズミくん、どうして急に強くなったんだい?」
やせネズミは、とくいそうに言いました。
「えへへへっ、じつはね。きのう、おじいさんとおばあさんがおもちをくれたんだ。だから力が強くなったんだよ」
「いいなあ、ぼくの家はお金持ちだけど、ケチだからおもちをついてくれないんだ」
「それなら、家へおいでよ。おじいさんはきっと今夜もおもちをついてくれるから、きみにも半分わけてあげるよ」
「ほんとうに! うれしいなあ」
それを聞いたおじいさんは二匹分のおもちをネズミの穴に入れてやり、おばあさんは二匹のネズミに小さなまわしをぬってあげました。
家にかえった二匹のネズミは、おもちとまわしを見つけて大喜びです。
喜んだふとっちょネズミはおみやげに持ってきた小判をおじいさんとおばあさんにあげたので、おじいさんとおばあさんはお金持ちになりました。
貧しくても優しい心を持って人に親切にしてあげれば、いつかきっと、幸せがやってきます。
おしまい
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