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9月13日の日本の昔話

一袋の米

一袋の米
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読

【大人もぐっすり眠れる睡眠朗読】心が軽くなる日本昔話 とんちの特集 元NHKフリーアナ お話読み聞かせ

♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

 あるとき、お城につかえる曽呂利(そろり)さんが、秀吉公(ひでよしこう→豊臣秀吉)にこんなお願いをしました。
「私の町は貧しい人が多く、みんな毎日食べるものに困っています。そこで殿さまのおなさけをもちまして、紙袋一ぱいほどの米を分けてやりたいと思います。どうぞお許しくださるよう、お願いいたします」
「紙袋一杯の米じゃと? 何じゃそのくらい。お前の好きなようにせい」
「あのう、それが大きな袋でして」
「たかが、紙の袋じゃ。好きなだけもたせてやれ」
「はあ。さすがは、おなさけ深いお殿さまでございます。町の者も、さぞかし喜ぶことでしよう」
 曽呂利はペコぺコおじぎをして、秀吉公の書付(かきつけ→江戸時代、将軍や老中の命令を伝えた公文書)をおしいただいてお城をさがりました。

 それから、十日ほどたったある日の事です。
「殿さま、大変でございます」
と 家来が、秀吉公のところへかけつけてきました。
「いかがいたした?」
「ちょっと、それがその、口では説明しにくいので見てください。・・・ああ、あれです」
 家来が指さす方を見ると、秀吉公の米倉の中の一つに、それは大きな紙の袋がすっぽりかぶさっています。
 そして大勢の町人が、米倉からどんどんお米を運び出しているのです。
 おどろいた役人が止めようとすると、あの曽呂利が殿さまの書付をみせて役人を下がらせます。
「殿、あのとおりです」
「ううむ・・・」
「あのぶんですと、かなりたくさんの米が出ていってしまいます。ここは何とかしないと、大変なことになります」
 しかし秀吉公は怒るどころか、おもしろそうに笑いました。
「ふむ、ふむ、なるほど。これはけっさく。おもしろいわい」
「殿、笑っている場合ではございません。早く、止めてくださいますよう」
「まあ、よいではないか」
「しかし、あんなにどっさりのお米を」
「よいよい。わしはあいつと約束をしたのだ。すてておけ。・・・それにしても曽呂利のやつ、でっかい袋を作ったもんじゃ。うひゃははははは」

 次の朝、曽呂利がお城にやって来ました。
「殿さま、昨日はありがとうございました」
「よい、礼にはおよばん。それにしても、すごい袋をつくったものだ」
「はい。あれだけで十日ほどもかかりました。いただきました米は、荷車で百二十台分ございました。お約束通り町の貧しい人達に、『これは、おなさけ深い殿さまからのお米だ』と言って分けてやりました。みんな、涙を流して喜こんでくれました。殿さま、曽呂利からもお礼申し上げます」
「でかした。さすがは曽呂利じゃ。・・・じゃが、今回だけでかんべんしてくれよ。うひゃははははは」

おしまい

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