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 8月5日の日本の昔話
 
  イラスト sai-sai
 
 ネズミの名作
 吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて
 
 にほんご(日语)  ・にほんご(日语)&ちゅうごくご(中文)
 
 アニメサイズ
        Max 1440×1080 字幕「日本語」「中国語」を追加しました。
 
 
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 投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
 【大人もぐっすり眠れる睡眠朗読】日本昔話集11 元NHKフリーアナ お話読み聞かせ
 
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 制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
 
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 投稿者 「ひつじも眠る朗読チャンネル」
 【本気で眠りたいあなたへの睡眠朗読】楽しいとんちの日本昔話集
 
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 制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
 
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 投稿者 癒しのココロちゃんねる 【睡眠用朗読】
 
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 投稿者 「癒しの森っ子」
 
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 投稿者 「きべだよ。」
 
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 投稿者 「眠りのねこカフェ」
 
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 投稿者 「ぐっすり眠れる優しいおやすみ朗読」
 
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 投稿者 あんみつこの読み聞かせ部屋
 
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 投稿者 「テツの朗読チャンネル」
 
  むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。 
          この吉四六さんの村の庄屋(しょうや)さんときたら、大がつくほどの骨董(こっとう→価値のある古い美術品)好きです。 
          古くて珍しい物は、どんな物でも集めて、人が来ると見せては自慢していました。
 ある日の夕方。
 吉四六さんが、庄屋さんの家へ来ると、
 
         「おう、吉四六さんか。良い所へ来てくれた。お前に見せたい物がある」「また、骨董ですか?」
 
         「まあ、そんな顔をせんと、とにかく見てくれ。なにぶんにも、天下に二つとない立派な品じゃ」
 そう言って庄屋さんは床の間から、いかにも得意そうに黒光りのする小さな彫り物を持って来ました。
 
         「庄屋さん。これはネズミの彫り物ですね」「さよう。生きておって、今にもそこらを走りそうじゃろう。
 
  見事なもんじゃ、左甚五郎(ひだりじんごろう)はだしといわにゃなるまい。こんな名作を持っておる者は、日本広しといえど、わし一人じゃろう。ワッハハハハ」
 
          庄屋さんが、あんまり自慢するので、吉四六さんはつい、「庄屋さん。実は、こんなネズミの彫り物なら、わたしの家にも名人の彫った物があります。
 
  その方が、ずっと良く出来ております」と、言いました。
 庄屋さんは自慢の鼻をへし折られたので、すっかり機嫌を悪くして、
 
         「お前なんぞの家に、そんな立派な物があってたまるかい!」「いいえ、ありますとも。ちゃんとあります」
 吉四六さんも、こうなったら負けてはいません。
 
         「わたしのは先祖代々の宝で、天下の名作です。庄屋さんのこんなネズミなんか、話になりません」
 「なんじゃと!
 お前の家などに、そんな物があってたまるか!
 もしあるなら、わしに見せてみい。
 ここヘ持ってきて、見せてみい!」
 「はーい、明日持って来ますよ」
 「きっとだぞ!」
 「ええ、きっと持って来ますとも」
 
          吉四六さんは家に帰りましたが、吉四六さんの家にはそんなネズミの彫り物などありません。「これは、ちょいと困ったな。えーと、どうしようか。
 
  ・・・待てよ。うん、そうそう。これはうまくいきそうだ」
 ニヤリと笑った吉四六さんは奥の部屋に入ると、障子(しょうじ)を閉めきって、何かをコツコツ刻み始めました。
 
          実は自分で、ネズミの名作を作ろうというのです。夜通しかかって、朝日が部屋に差し込んできた頃、ようやく完成しました。
 
         「出来た! 
  これで、庄屋さんを負かす事が出来るぞ」吉四六さんは刻み上げたネズミを風呂敷に包むと、庄屋さんの家まで走って行きました。
 
 「おはようございます、庄屋さん。これが昨日話した、わたしの家の宝物です。名作です」
 
         と、風呂敷から、いかにも大事そうに彫り物を取り出して、 
         「どうです。このネズミこそ、本物そっくりでしょう」と、一晩かかって彫り上げたネズミを、庄屋さんの前に差し出しました。
 
         「・・・?  
  ぶぶぶーっ!」 
         庄屋さんは、思わず吹き出しました。「何を笑いなさる。
 このネズミに比べたら、庄屋さんのネズミなんぞは、恥ずかしゅうてそばヘも寄れません。
 はよう持って来て、比べてごらんなされ」
 「何じゃと!」
 庄屋さんは、さっそく自分のネズミを持って来ました。
 比べてみるまでもありません。
 
          吉四六さんのネズミは、素人の一夜作り。庄屋さんのネズミは、名人の作品です。
 
          それでも吉四六さんは、自分のネズミの方が素晴らしいと褒めちぎりました。「えーい。お前といくら言い合っても、話にならん。
 
  和尚(おしょう→)さんにでも、立ち会ってもらおう」と、言うので、吉四六さんは、
 「よろしい。立ち会ってもらいましょう。だけど、ちょっと待って下さいよ。
 
  ネズミを見分けるのなら、寺まで行かずとも、ほれ、そこにおるネコの方がよろしかろう」「ネコ・・・?
 
  なるほど。では、ネコの飛びついた方が勝ちじゃ」「はい。では、もしわたしの方に飛びついたら、庄屋さんのネズミは頂きますよ」
 「おお、いいとも、いいとも」
 
         と、言うわけで、二人のネズミを床の間に並べてネコを連れて来ると、これはビックリ。 
          ネコはいちもくさんに、吉四六さんのネズミに飛びつきます。「あっ!」
 庄屋さんが、ビックリするひまもありません。
 ネコはネズミをくわえたまま、素早く庭へ飛び降りて、どこかへ行ってしまいました。
 「吉四六の勝ちじゃ!
 
  庄屋さん、約束通りこのネズミはいただきますよ」吉四六さんは床の間に残った庄屋さんのネズミをつかむと、家ヘ帰りました。
 そして、庄屋さんのネズミをつくづくとながめて、
 
         「なるほど。こりゃ立派な彫り物じゃ。おかげで、家にも宝物が出来たわい」 
          実は吉四六さんが一晩かかって作ったネズミは、ネコの大好物のカツオブシで作ったネズミだったのです。 おしまい   
 
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