
  福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 12月の江戸小話 > とり目
12月24日の小話
とり目
   昼は目がみえても、夕方から夜になると、目がよくみえなくなるのを、とり目といいます。
   ある男が、
  「このごろ、とり目でこまる。何とか、夜もみえる薬はあるまいか」
  と、友人にきくと、
  「ふくろうの目ん玉を、黒焼きにして飲むとよいそうだ」
  と、いいます。
   さっそく、ふくろうの目玉を手に入れて、黒焼きにして飲むと、いわれたとおり、よくみえること。
   暗い夜道でも、灯りなしで歩けます。
  「これはありがたい」
  と、男はよろこんでいると、なんと、昼は、まっ暗。
   なんにもみえませんでした。
 ふくろうという鳥は、昼間はずっと寝ているのです。
おしまい