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  イラスト たつよ   提供 らくがきの日常
 
 くわん、くわん
 
 (いっきゅう ばなし)
 
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  むかしむかし、いっきゅうさん と いう、とんち で ひょうばん の こぞうさん が いました。
 あるとき、おしょうさん が だいすきな ぼたもち を もらってきましたが、てら の こぞうたち に わける だけ の かず は ありません。
 
  そこで おしょうさん は こぞうたち には やらずに、ひとり で ぜんぶ たべて しまおうと、  
  その ぼたもち を とだな の おく に かくした の ですが、 
 それを みていた のが いっきゅうさん です。
 
 「ずるい おしょうさん だ。よし、みんな で たべてしまおう」
 
         と、かくしていた ぼたもち を とりだす と、てら の こぞうたち と いっしょ に ぜんぶ たべてしまったのです。 
 「しかし、こんなこと を して だいじょうぶか? いっきゅう」
 
 しんぱい する こぞうたち に、いっきゅうさん は ニッコリ わらう と、
 
 「だいじょうぶ ですよ。ほんどう の あみださま に、ちょっと てつだって もらえば」
 
         と、いって、さら に ついた アンコ を て で すくう と、いっきゅうさん は ほんどう に はいっていきました。 
 
 さて つぎ の あさ、ぼたもち が なくなった こと に き が ついた おしょうさん は カンカン に はら を たてて、
 
 いっきゅうさんたち こぞう を よびつけました。
 
         「こら! とだな の おく の ぼたもち を ぬすんだ のは、だれだ?!」 
 すると いっきゅうさん は、とぼけた くちょう で、
 
 「はて、わたしたち は しりません。
 
 だけど ほんどう の あみださま の くちもと に、アンコ が ついて いましたよ。
 
 はんにん は、あみださま かも しれませんね」
 
 「なに を、ばかな ことを」
 
 と、いいつつ、おしょうさん が ほんどう に いってみると、たしかに あみださま の くちもと は アンコ だらけ です。
 
 もちろん、いっきゅうさん の しわざ です。
 
         (ははーん。 
 これは、いっきゅう の しわざ だな。
 
 また とんち で ごまかす つもり だろう が、そう は いかんぞ)
 
 いっきゅうさん の しわざ と きづいた おしょうさん は、
 
 「あみださま。
 
 ぼたもち を ぬすんだ のは、あみださま ですか?
 
 こたえて くだされ」
 
 と、いって、あみださま の あたま を コツン と たたきました。
 
  すると、あみださま が、 
 ♪くわ~~ん
 
 と、なりました。
 
 なんど たたいても、
 
 ♪くわ~~ん、くわ~~ん
 
 と、なります。
 
 おしょうさん は いっきゅうさんたち に むきなおる と、こわい かお で いいました。
 
 「ほれみろ。
 
 あみださま は 、『くわん』 と おっしゃって おるぞ。
 
 やはり はんにん は、おまえたち だな!」
 
  おしょうさん は、 
 (ついに いっきゅう から、いっぽん とったぞ)
 
 と、ないしん よろこん で いました が、そんなこと で やられる いっきゅうさん では ありません。
 
 いっきゅうさん は、ますます とぼけた くちょう で、
 
 「あれ?
 
 たたいた くらい では、はくじょう しませんね。
 
 こうなれば、あみださま を かまゆで に してみましょう」
 
 と、いって、にえたった かま の なか に、あみださま を つけたのです。
 
  すると あみださま は、 
 ♪くった、くった、くった
 
 と、あわ を ふきました。
 
 「ほらね。あみださま が 『くった、くった』と、はくじょう した でしょう」
 
 これには、おしょうさん も かえす ことば が なく、
 
         「たしかに、おまえ の いう とおり だ」 
 と、こたえる しか ありませんでした。
         おしまい        
 
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