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  イラスト たつよ   提供 らくがきの日常
 
 かたな の ごちそう
 (いっきゅう ばなし)
 
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  むかしむかし、いっきゅうさん と いう、とんち で ひょうばん の こぞうさん が いました。
      
 
 
 いぜん、いっきゅうさん に 『びょうぶのトラ』で とんちしょうぶ を して、みごと に まけた あの とのさま が、また いっきゅうさん を おしろ に まねき ました。
 
         「いっきゅう よ。よく きてくれたな」 
 「はい。および と あれば、なんどでも。して、きょう は どのような もんだい ですか?」
 
 いっきゅうさん が きく と、とのさま は わらいながら いいました。
 
 「アハハハハハッ。
 
 ようじん して おるな。
 
 だが、あんしん せい。
 
 きょう は そなた に、ごちそう を して やろう と よんだ だけじゃ」
 
          そう いって とのさま は、いっきゅうさん に たいへん な ごちそう を だしました。  
         「それ、えんりょせず に、すきな だけ たべるといい」  
          とのさま の ことば に、いっきゅうさん は おてら では たべては いけない こと に なっている にく や さかな を パクパク と たべました。 
 それ を みた とのさま が、かんしん して いいます。
 
         「よく たべるのう。 
 それに しても、なんでも とおる のど だ」
 
 「はい。
 
 わたし の のど に、とおらない もの は ありません。
 
          いうなれば、とうかいどう の ような もの です」 
 「よし!」
 
 とのさま は、その こたえ を まっていた よう です。
 
 とのさま は かたな を ぬく と、こわい かお で いっきゅうさん に さしだしました。
 
         「では、この かたな を のみこめ! 
 なんでも とおると、いった のだ。
 
 これが とおらぬ とは、いわせぬぞ!」
 
 しかし いっきゅうさん は、へいき です。
 
 「はい、わかりました。かたな を のみこめば よい の ですね」
 
 「なに? ほんとう に、できる のか?」
 
 「さきほど も いいました が、わたし の のど は とうかいどう の ような もの ですから」
 
 そう いって いっきゅうさん は かたな を うけとる と、きゅう に コンコン と せきこみました。
 
          やがて せき が おさまる と、とのさま に いいました。 
 「これは ざんねん。
 
 たった いま、せき が とまりました。
 
          せき も せきしょ も おなじ で、いったん とまります と、なにもの も とおしては くれません」 
 それを きいた とのさま は、おもわず て を たたきました。
 
         「むっ! さすが は いっきゅう。こんかい も よ の まけじゃ」 
 こうして いっきゅうさん は、またもや たくさん の ほうび を もらいました。
         おしまい        
 
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