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第13話

メスウシのブッコラ

メスウシのブッコラ
アイスランドの昔話 → アイスランドの国情報

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「宵菜」  和茶和茶屋

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんと息子がいました。
 とても貧乏(びんぼう)ですが、ブッコラという名まえのメスウシを、たった一頭飼っていました。
 ところがある日、そのブッコラが突然いなくなってしまったのです。
「これはきっと、悪魔(あくま)にさらわれてしまったにちがいない。さがしてきておくれ」
 おじいさんとおばあさんが、息子にいいました。
 そこで息子は、長い長い旅のしたくをして、メスウシのブッコラをさがしにいくことになりました。
 お弁当を食べて、歩いて、お弁当を食べて、歩いて、息子は一生けんめいブッコラをさがしました。
 ですが、ブッコラの足跡ひとつ見つかりません。
「ブッコラや、もう死んでしまったの? 生きているなら返事をしておくれ」
 すると、
「モウー」
 ブッコラの鳴く声が聞こえたのです。
「もうすぐだ!」
 息子は、せっせと歩きだしました。
 ところが、たしかに声がしたのに、ブッコラの足跡ひとつないのです。
「ブッコラや、生きているの? 生きていたら返事をしておくれ」
 すると、
「モウー」
 さっきより、ずっと近くで返事をする声が聞こえました。
「ブッコラや、まだ生きている? 生きていたら返事をしておくれ」
 すると、どうでしよう。
「モウー」
 大きな岩の中から、ブッコラの声か聞こえたのです。
 息子は急いで、岩のすきまから岩の中に飛びこみました。
「あっ、いたいた!」
 ブッコラは太いくさりにつながれて、岩のろうやにはいっていたのです。
「早く、逃げよう!」
 息子はブッコラのくさりを切ると、いっしょに逃げ出しました。
 ところが、しばらくすると、
「こら、待て!」
 大きなオスウシを連れた悪魔があらわれて、息子たちを追いかけてきたのです。
「だめだ、つかまってしまう!」
 すると、ブッコラがいいました。
「あたしのしっぽの毛をぬいて、後ろにほうりなさい」
 息子がいうとおりにすると、ブッコラがじゅもんをとなえました。
「しっぽの毛、大きな川になれ」
 するとふしぎなことに、そこには大きな川ができたのです。
 ところが、悪魔はいいました。
「ふん。こんな川なんて平気だよ。それ! オスウシよ、川の水をみんな飲んでおしまい!」
 悪魔は、オスウシに川の水をガブガブと飲ませてしまいました。
「だめだ、もうつかまるよ」
「じゃあ、もう一本毛をぬいて」
 今度は、ものすごい火の山ができました。
 ところが悪魔のオスウシは、さっき飲んだ川の水をみんなはき出して、たちまち火を消してしまいました。
「もうだめだ。つかまってしまう」
「じゃあ、もう一本毛をぬいて」
 今度は、見あげるほどの岩山ができました。
 ところが、
「こんな山なんか、一突きで穴をあけてやる」
 悪魔とオスウシは、ツノで岩に穴をあけて、その穴をくぐってこようとしたのです。
 でも穴が細すぎたため、悪魔とオスウシは途中でつまってしまい、そのまま岩になってしまいました。
 ブッコラと息子は、めでたくおじいさんとおばあさんの家に帰ることができたということです。

おしまい

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