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第4話

青い山からきたタバコ

青い山からきたタバコ
カナダの昔話 → カナダの国情報

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「宵菜」  和茶和茶屋

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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読

【大人も子供も眠れる睡眠用朗読】優しい昔話特集

 むかしむかし、カナダの森のおくに、大きな木にかこまれた湖がありました。
 湖の岸辺には、夫婦と二人の子どもが住んでいました。
 子どもたちは大きくなるにつれて、とてもとても美しくなりました。
 子どもたちが十二才になったとき、そのあたりにおそろしい病気がはやりました。
 そして子どもたちは、その病気にかかって死んでしまったのです。
 お母さんも悲しんで、まもなく死んでしまいました。
 たった一人とりのこされたお父さんは、それはそれは悲しんで、いっそ死んでしまおうかと思いました。
 でも、やっと気をとりなおして、
「そうだ、これからさき、わしは人をたすけてくらすことにしよう。人のためにつくせば、おちついたおだやかな毎日をすごすことができるだろう」
と、自分にいいきかせたのです。
 その日からお父さんは、よわいものやまずしい人たちのために、いっしょうけんめい働きました。
 村の人たちは、そんなお父さんを『おじいさん』とよんで、たいせつにしてくれました。
 やがておじいさんは、年をとって働けなくなりました。
 みんなのために働いたおじいさんは、だれからも好かれていましたが、それでもさびしくて、たまらなくなることもありました。
 たった一人でくらしていると、昼も夜もたいくつです。
 ある日、おじいさんは湖のほとりにションボリすわって、おかみさんや子どもたちのことを思いだしていました。
 そのとき、むこうの青くかすんだ山から、黒雲のような鳥のむれがとんできたのです。
 おじいさんも、まだ見たことのない鳥です。
 村の人たちは、その鳥のむれをとてもこわがって、
「あれはなにか、わるいことがおこる知らせだよ」
と、いいあいました。
 まもなく、その中の一羽の鳥が羽をバタバタさせながら、地べたにおちてきました。
 見ると、胸に矢がつきささっています。
 村の人たちは、どうしたらよいかわかりません。
 そこでおじいさんのまわりに集まって、おじいさんの顔をジッと見つめました。
 地べたにおちた鳥は、くるしそうにふるえています。
 なかまの鳥たちは、しばらくそのまわりを飛んでいましたが、やがて矢のあたった一羽をのこしたまま、青くかすんだ山のほうへ帰っていきました。
「かわいそうに。けがをなおしてやろう」
 おじいさんはこういって、ふるえている鳥に近づこうとしました。
 すると、
「いけない! おじいさん。あれは魔法の鳥だ。きっとよくないことがおこるよ」
と、みんなはおじいさんをひきとめましたが、
「いいや、だいじょうぶ。鳥はなにもしやしないさ。それに、わしの一生も、もうおわりに近づいている。もし何かがおきたとしても、死ぬのが少し早くなるだけだよ」
 おじいさんはこういって、鳥へ近づいていきました。
 おじいさんが歩いていくと、あたりはきゅうにくらくなりました。
 そして鳥のすぐそばまで近づいたとき、天からまっ赤な炎のはしらがおりてきたのです。
 火はあっというまに消えましたが、鳥は焼けてしまって、あとにはひとかたまりの黒い灰だけがのこっていました。
 おじいさんがつえで灰をかきまわすと、中には、まっ赤な火のかたまりが一つありました。
 でも、その火のかたまりもすぐに消えてしまい、あとに残ったのは、親指ぐらいの大きさの、人のような形をしたものだけでした。
 その人のような形のものが、おじいさんに話しかけました。
「こんにちは、おじいさん。あなたをたすけにまいりました」
「おまえはいったい、なにものだね?」
「わたしは、あの青い山の小人です」
 そういえばと、おじいさんは、「青い山には、妖精(ようせい)が住んでいる」という話を聞いたことがあるのを思い出しました。
 小人は、話しをつづけました。
「あなたに、すてきなものを持ってきたのですよ。あなたは年をとって一人ぼっちですが、あなたの一生はおわっていません。あなたはまだまだ、生きていなければいけません。あなたはおおぜいの人をたすけて、いいおこないをたくさんしてきました。これからさき、あなたがもっとたのしくくらせるように、おくりものをさしあげます」
 小人はおじいさんに、小さなタネをたくさんわたしました。
「いますぐこれを、ここにおまきなさい。わたしのたっている、この灰の中に」
 おじいさんは、いわれたとおりタネをまきました。
 タネはたちまち芽をだして、大きな葉をつけました。
 これは、タバコの葉だったのです。
 こうして鳥がもえたあとに、タバコ畑ができました。
 小人はおじいさんに、大きなパイプをわたしていいました。
「この葉をかわかして、パイプにつめて、おすいなさい。きっと、たのしい気分になるでしょう。タバコは、あなたがさびしいときには、友だちになってくれるでしょう。夕方、青い光の中でタバコをすえば、煙は天にまいあがり、あなたのすてきなおくさんや、子どもたちを見まもるでしょう」
「ありがとう。ほんとうに、ありがとうよ」
 おじいさんは、なんどもお礼をいって、パイプをうけとりました。
「年をとった、ほかの人たちにも教えてあげなさい。みんなたのしく、くらすことができますよ」
 小人はいいおわると、遠くの青い山のほうへ、とんでいってしまいました。
 それからというもの、おじいさんはまえよりもずっとたのしく、まいにちをすごすことができました。
 タバコはこうして、カナダの森のインディアンにつたわったのです。

おしまい

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