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6月21日の世界の昔話
ほらふき男爵 ワニとライオン退治
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語り 「松井一憲」 朗読パーク NPO声物園チャンネル
わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
南の島へ旅行に行った時、わがはいは絶体絶命のピンチに出会った。
何しろキバをむいたライオンに追いつめられ、すぐ後ろでは大口を開けたワニがわがはいにかみつこうとしていたのだからな。
これを絶体絶命と言わず、何が絶体絶命であろうか?
なに? 絶体絶命なのに、どうしてここにいるかだって?
そう、それがわがはいのすごいところだ。
わがはいがここにいるのは、絶体絶命のピンチにおちいっても、決してあきらめないからだ。
では、話を元に戻そう。
この時はさすがに、わがはいも死を覚悟した。
だが決して目をつぶらず、ライオンとワニ、どちらが先に動くかを観察した。
先に動いたのは、目の前のライオンだった。
ライオンが大きな口を開けて飛びかかって来た、その時、わがはいはとっさに身をかがめてライオンの攻撃をかわした。
ライオンがわがはいの頭上を飛び越えたので、わがはいはすぐに前へ走り出そうとした。
これで少なくとも、ライオンとワニのはさみうちはまぬがれた。
そう思った瞬間、わがはいは足を滑らせて、はでに尻もちをついてしまった。
「うぅーーっ!」
お尻が痛くて、すぐには起き上がることが出来ない。
動けないわがはいに、もうすぐ背後のライオンかワニが襲いかかってくるだろう。
わがはいの冒険も、これで終わりか。
わがはいはそう覚悟したが、なんと無傷で助かったのじゃ。
なぜならわがはいの頭上を飛び越えたライオンは、そのまま反対側にいるワニの口に頭からスッポリと入ってしまったからだ。
わがはいは何とか起き上がると、ワニの口から頭が抜けずにもがいているライオンの首を切り落として、見事ライオンを退治した。
そしてワニはライオンの頭がのどにつまってしまい、そのまま川に沈んでいった。
今日の教訓は、『何があっても決してあきらめるな。あきらめなければ、活路が開く』だ。
おおっ、今日の教訓は、なかなか良いかっこいいではないか。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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