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 7月2日の日本民話 2
 
  
 カメのこうらがひびだらけの理由
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  むかしむかし、カメの背中は貝殻のように、とてもつるつるしていました。ある時カメは、鳥のガンに頼みました。
 「ねえ、いつも同じ所にいるのはあきあきしたから、どこか他の所へ連れて行っておくれよ」
 「いいとも。でも、一人では運べないから、友だちを連れて来るよ」
 気の良いガンは、もう一羽のガンと木の棒を持ってきました。
 「じゃあ、この棒のまん中をくわえるんだ。ぼくたちが両端をくわえて持ち上げるからね。いいかい、どんな事があっても、決して口を開けてはいけないよ」
 「わかった」
 ガンは棒のまん中をカメにくわえさせると、その棒の両端をくわえて空へ飛び上がりました。
 (わあー、すごいすごい。カメのぼくが空を飛んでいるぞ)
 カメが喜んでいると、それを見つけた子どもたちがカメをからかいました。
 「あれ? カメが空を飛んでいるぞ」
 「よく見ろ。自分では飛べないから、ガンのくわえた棒にかじりついているのさ」
 「なんだ、みっともない。あははははは」
 それを聞いたカメは、くやしくてたまりません。
 そこで子どもたちに文句を言ってやろうと、思わず口を開けてしまいました。
 「うるさい子どもたちめ、くやしかったら、・・・ああ、しまった!」
 口を開けてしまったカメは、そのまま地面に落ちてしまいました。
 ヒューーーッ、ドカーン!
 それからだそうです、カメの背中がひびだらけになったのは。
 おしまい   
 
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