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      第 286話 
          
          
         
三峯山の犬 
埼玉県の民話 → 埼玉県の情報 
       
      ・日本語 ・日本語&中国語 
       むかしから秩父にある三峯神社(みつみねじんじゃ)では、火事や泥棒よけのお守りが有名です。 
 このお守りをもらう事を地元では『犬をかりる』と言いますが、それは三峯神社のお使いが犬だからです。 
 
 ある日の事、お札をもらった男が、こんな事を言いながら山を下りていきました。 
「犬をかりるとは言うが、もらえるのはいつもお札ばかりだ。 
 どうせなら、本当の犬を借りたいものだ。 
 いや、犬よりも強いオオカミの方がいいな。・・・うん?」 
 男は何かの気配を感じて、後ろを振り返りました。 
 すると少し離れた所に大きなオオカミがいて、じっとこちらを見つめているのです。 
「あわわわ。オオカミだ!」 
 男は怖くなって山を駆け下りましたが、オオカミはどこまでも追いかけてきて、少し離れた所からじっと男を見つめているのです。 
 オオカミが襲ってくる事はありませんが、男からは決して離れようとはしません。 
「どうして、ずっとついてくるのだ?! ・・・はっ、もしや!」 
 男はあわてて三峯神社に戻ると、神さまに謝りました。 
「先ほどは生意気な事を申し上げて、すみませんでした。 
 犬もオオカミも、いりません。 
 お札だけで、けっこうでございます。 
 なにとぞ、お許し下さい」 
 するとオオカミの姿がふっと消えて、男は無事に家へ帰れたそうです。  
      おしまい 
      → 三峯神社のホームページ http://www.mitsuminejinja.or.jp/ 
         
       
        
 
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