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第 151話

赤神と黒神

赤神と黒神
青森県の民話青森県の情報

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 むかしむかし、陸奥の国(むつのくに→青森県)の竜飛(たっぴ)というところに、黒神という神さまが住んでいました。
 そして十和田湖(とわだこ)というところのほとりには、とても美しい女神が住んでいました。
 その女神に恋をした黒神は、毎日毎日、龍に乗って女神を訪ねると、
「どうか、わしの妻になってくれ」
と、言うのでした。
 しかし女神は、
「うれしいお申し出ですが、もう少し待ってください」
と、なかなか承知をしなかったのです。

 一方、羽後の国(うごのくに→秋田県)の男鹿半島(おがはんとう)というところには、赤神という神さまが住んでいて、この赤神も十和田湖の女神に恋をしていたのです。
 赤神は鹿をお使いにして、毎日毎日、女神に手紙を送りました。
 そして手紙の最後には必ず、
《どうか、わたしの妻になってください》
と、書いてあったのです。
 女神は赤神にも、
「うれしいお申し出ですが、もう少し待ってください」
と、なかなか承知をしなかったのです。
 二人の神さまに告白されて、女神はとても悩みました。
 男らしい黒神にも心を引かれますし、心やさしい赤神にも心を引かれます。
 女神がとちらを選ぶか悩んでいるそのうちに、黒神と赤神は女神の事で争いを起こしました。
 黒神が龍を赤神のいる男鹿半島に走らせれば、赤神も負けじと鹿を黒神のいる竜飛に走らせます。
 龍は口から火を吹いて鹿を追い払い、鹿は鋭い角で龍に立ち向かいます。
「女神はおれの物だ。お前はあきらめろ!」
「いいえ、女神はわたしの物です。あなたこそ身を引いて下さい!」
 どちらの神も、決してあきらめません。
 やがてそれを知った他の神さまたちは、岩木山(いわきやま)に登ると、黒神の味方は山の右側に、赤神の味方は山の左側に集まって、
「黒神、がんばれ」
「赤神、がんばれ」
と、応援を始めたのです。
 黒神と赤神の戦いは、なかなか勝負がつきませんでした。
 ところがある夜の事、赤神軍の鹿の大将が太陽の沈む夢を見て、その夜のうちに死んでしまったのです。
 さあ、それを聞いた鹿の赤神軍は弱気になって、
「もうこれまでだ。以後、再び世に現れる事はないだろう」
と、岩屋の中に身を隠してしまったのです。
「勝ったー! これで女神はわしの物だ!」
 勝利した黒神の方に、多くの神さまが集まりました。
 それで山の右側が神さまたちに踏み崩されて、今でも、岩木山は右の方が低くなっているのだそうです。
 さて、喜んだのは黒神は急いで龍に飛び乗ると、女神の住む十和田湖に向かいました。
 ところがそこには、女神はいませんでした。
 なんと女神は、最後になって心やさしい赤神を選び、赤神と一緒に岩屋の中に隠れていたのです。
「何だと! 勝ったのはおれなのに!」
 黒神は怒り狂って嵐を呼び、大きく息を吸いこむと千年分の息を一度に吐き出しました。
「ブォーーッ!」
 その勢いで地面が盛り上がり、今の大きな北海道が出来あがったと言う事です。

おしまい

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