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      第 139話 
          
          
         
ウサギの誕生 
北海道の民話 → 北海道情報 
 
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      投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読 
      
       むかしむかしの大むかし、月には大勢の王子さまが住んでいました。 
 王子さまはみんな元気で明るく、遊ぶ事が大好きです。 
 いつも月の世界で、走ったり歌ったり追いかけっこをしたりして過ごしていました。 
 あるとき、月に雪が降りました。 
 キラキラ、ヒラヒラ 
 キラキラ、ヒラヒラ 
 輝きながら舞い降りてくる真っ白な雪に、王子さまたちは大喜びです。 
「わーい。雪だ、雪だ」 
「何をして、遊ぼうか?」 
 雪を手の平に乗せたり、そっと口に入れてみたりしているうちに、雪は月一面に真っ白に降りつもりました。 
「なんて美しいんだろう。まるで、真珠をしきつめたようだ」 
 一人の王子さまが、雪を両手で包んで、ボールのように丸く固めました。 
 そして雪の玉を、近くにいた王子さまに投げつけたのです。 
「わっ、冷たい~」 
 ぶつかった雪の玉はたちまちこわれて、キラキラと散らばりました。 
「やったなぁ!」 
 ぶつけられた王子さまも、雪の玉を作って投げ返します。 
 それを見ていたほかの王子さまたちも、雪の玉の投げっこを始めました。 
「それっ」 
「わあ、冷たい」 
「今度はぼくの番だ。えいっ!」 
 そんなふうに楽しく雪合戦をしているうちに、雪の玉が一つ、月を飛び出してしまったのです。 
 月から落ちた雪は、どんどんどんどん飛んでいって、とうとう地球まで行ってしまいました。 
 その様子を、神さまが見ていました。 
 神さまは月に初めて降った美しい雪が、やがてお日さまに溶けて消えてしまうのはもったいないと思い、せめて地球に落ちていった雪だけでも何とかしようと、地球に落ちた雪の玉に、長い耳と目と鼻と口、それに四本の足と、小さくてかわいいしっぽをつけて、生命を吹き込みました。 
 神さまに生命をもらった雪の玉は、たちまちぴょんぴょんとはねまわりました。 
 神さまは、にっこり笑って言いました。 
「そなたの名前はウサギ。ウサギにしよう。ウサギよ、地球という星で幸せにくらすのじゃよ」 
 こうして、ウサギが生まれたという事です。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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