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 第 101話
 
  
 金毘羅さんと子ウマ
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  むかしむかし、ある村のお百姓(ひゃくしょう)が飼っているウマが、子ウマを生むことになりました。しかしこれが大変な難産(なんざん)で、子ウマはなかなか生まれません。
 そこでお百姓(ひゃくしょう)の奥さんは、金毘羅(こんぴら)さんに出かけて、
 「母ウマが無事に生んでくれたら、子ウマは神馬(じんめ→神社に奉納するウマ)として金毘羅さんに差し上げます」
 と、祈ったのです。
 その祈りが通じたのか、やがて子ウマは無事に生まれて母ウマも元気を取り戻しました。
 ところがお百姓の奥さんは金毘羅さんとの約束をすっかり忘れて、子ウマを他人に売り渡す事にしたのです。
 
 さて、売られる前の日の夜の事です。
 子ウマはいつの間にかウマ小屋を出て山をこえ、象頭山(ぞうずさん)に登ってお社(やしろ)の前にたたずんでいました。
 お宮の人たちは、
 「誰がこんなところへ、ウマを置いていったのじゃ? まだ、子どものウマではないか」
 と、近くの村々におふれを出して、飼い主を探しました。
 それを知った飼い主のお百姓はお宮へ行くと、自分の子ウマを家まで引いて帰りましたが、どうしてあんな所へ行ったのかわかりません。
 「母ウマと別れるのが、いやなんじゃろか?」
 お百姓は子ウマを売るのをやめると、母ウマと一緒にしておきました。
 ところが子ウマはまた山をこえて、金毘羅さんのお社にいってしまったのです。
 こんな事が何度も繰り返されるので、不思議に思った神主さんはお百姓にわけを聞きました。
 その時、奥さんがウマのお産の時に祈った事を思い出したのです。
 「そう言えば金比羅さんに、この子ウマを神馬に差し上げると約束したわ」
 そこで子ウマは神馬として、社につながれることになったのです。
 おしまい   
 
 
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